ASEAN特使、ミャンマー国軍トップと協議 人道支援など

【ヤンゴン=新田裕一】東南アジア諸国連合(ASEAN)でミャンマー問題の特使を務めるカンボジアのプラク・ソコン副首相兼外相は30日、ミャンマーの首都ネピドーを訪問し、クーデターで全権を掌握したミンアウンフライン国軍総司令官と会談した。ミャンマー国内でのASEANによる人道支援の実施などについて協議した。
カンボジア側はクーデターで身柄を拘束された民主化指導者アウンサンスーチー氏との面会を求めていたが、今回の訪問中には実現しない見通しだ。カンボジア外交筋は30日「(面会の)許可は出なかった」と明らかにした。プラク・ソコン氏は3月の前回訪問時にもスーチー氏との面会を求めたが、国軍側は「刑事裁判が続いている」として拒否している。
プラク・ソコン氏は29日午後、ミャンマーの最大都市ヤンゴンに到着した。特使としてのミャンマー訪問は3月に次いで2回目となる。現地報道によると、7月1日には一部の少数民族武装勢力の代表者らと会談する。ただ、民主派の武装抵抗に協力している有力な武装勢力は含まれない見通しだ。
ASEAN主導の人道支援を巡っては、カンボジア政府が5月初旬、ミャンマーを含む加盟国や国際機関を招いて支援調整会議を開いた。ミャンマー当局との「緊密な調整」を条件に、民主派の武装グループと国軍の戦闘が激しい5つの地域・州などで支援を実施することを合意した。
これに対し、民主派議員らでつくる挙国一致政府(NUG)は同月末、この方式では「人道支援が国軍に利用されるだけだ」と訴える共同声明を出した。国軍を介さずに近隣国から物資を直接届ける越境支援を求めている。
ミャンマー国軍は2021年2月1日、全土に非常事態を宣言し、国家の全権を掌握したと表明しました。 アウン・サン・スー・チー国家顧問率いる政権を転覆したクーデターを巡る最新ニュースはこちら。