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韓国国防予算が日本に並ぶ 22年5.3兆円、23年にも逆転

4月、国産戦闘機の出庫式で演説する文在寅大統領(韓国大統領府提供)

【ソウル=恩地洋介】韓国政府が31日に発表した2022年(暦年が会計年度)の政府予算案で、国防費は前年比4.5%増の55兆2277億ウォン(約5兆3000億円)となった。足元の為替レートでは、日本の21年度当初の防衛予算に並んだ。今後も大幅な増額を予定しており、23年にも実額で日本を上回る可能性がある。

物価などを考慮した購買力平価で換算すると、日韓の防衛費はすでに逆転している。日本政府は18年の時点で韓国が日本を上回ったと判断している。韓国の人口1人当たりの国防予算は日本の2.4倍にのぼる。中国の脅威が高まるなか、日本でも防衛に対する負担のあり方について議論が求められそうだ。

実額は韓国が日本に肉薄する状況になった。日本の21年度当初の防衛予算は5兆3422億円だった。22年度は防衛省が過去最大規模の5兆4797億円の概算要求を決めた。

韓国政府の国防中期計画は年平均で6%を超える増額を予定する。25年の予算は67兆ウォンを想定する。軍事境界線を挟んで北朝鮮と向かい合う韓国は毎年、対国内総生産(GDP)比で2%を超える支出を維持している。

多くの予算を配分するのは、核・ミサイルの増強を続ける北朝鮮への対応だ。ミサイル発射の兆候を探知し、先制打撃を加える「キルチェーン」と呼ぶ攻撃体系の整備などがある。

文在寅(ムン・ジェイン)政権下の増加傾向は目立つ。各年の当初予算(22年は政府案)をみると、文政権が予算を編成した5年間の伸び率は37%となった。2代前の李明博(イ・ミョンバク)政権は29%、朴槿恵(パク・クネ)前政権は在任4年目で弾劾されたため17%だった。

文氏ら革新勢力は北朝鮮に融和姿勢だが、それ以前に、過度な米軍依存からの脱却を目指す「自主国防」の志向が強い。同じ革新政権だった盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権下でも国防予算の伸び率は53%の高さだった。

中長期では小型監視衛星の打ち上げや無人偵察機の導入で、米軍に頼らない情報収集体制を構築しようとしている。弾道ミサイルの改良や、ステルス機の導入など攻撃力の高い装備への更新も課題だ。

北朝鮮は韓国全域を射程に収める新型短距離弾道ミサイルの開発を急いでいる。金正恩(キム・ジョンウン)総書記は、経済情勢が厳しくても核とミサイルの開発を聖域扱いとしており、南北が軍拡を競う状況が続く。

一方、日本や中国は韓国海軍の増強に関心を寄せる。予算には軽空母の開発費が含まれ、韓国政府内には原子力潜水艦を保有する構想があるからだ。軍の内部には領土問題を抱える日本や中国を「潜在的脅威」だとみなす考え方もある。

安全保障の専門家には、韓国の軍事増強は日本に利点をもたらすとの見方もある。政策研究大学院大の道下徳成教授は「自衛隊と米軍は、朝鮮半島、台湾の有事を見据えた二正面作戦を強いられている。韓国が主導的に北朝鮮に対応してくれれば、日米同盟は台湾方面に重心を移せる」と指摘している。

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