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中国地方財政悪化が加速 黒竜江・鶴崗市が初の「破綻」

(更新)

【北京=川手伊織】中国で地方財政の悪化が加速している。東北部の黒竜江省にある旧産炭地、鶴崗市が事実上「財政破綻」したことが明らかになった。省直下の市としては初めてとみられる。地方財政の悪化は公共事業の足かせになるほか、公務員給与の削減を通じて個人消費の下押し要因にもなる。

「不動産価格が白菜の値段のように安い」。鶴崗市は「5万元(約90万円)あれば家を買える」といわれるほどの過疎地だ。かつて黒竜江省四大炭鉱の一つとして発展したが、2011年に国が資源枯渇都市に認定。その頃から経済成長が止まった。

現役世代を中心に人口が流出し、20年時点では10年前から16%減った。直近で人口約90万人の同市では60歳以上の比率が24%と、全国平均の19%を上回る。経済の停滞と高齢化で財政赤字は拡大している。一般会計にあたる一般公共予算をみると、23億元の歳入に対し、歳出は6倍の137億元に達した。

同市は21年12月下旬、職員採用計画を取り消すと発表。その公表文の中で、財政再建計画を実施していると明らかにした。国の管理下で北海道夕張市が抜本的な財政再建を迫られたのと似た状況といえる。

中国の国務院(政府)によると、財政再建計画を策定した地方政府は徴税を強化する。補助金の支給や職員の新規採用も止め、建設支出も抑える。そのうえで省政府に財政支援を申請できる。

鶴崗市は財政の立て直しに着手したが、人口減少や産業転換の遅れという構造問題の解決策はみつかっていない。住民負担が高まる一方、歳出抑制が進めば、地域経済が一段と衰退するのは必至だ。

地方財政の悪化は局所的な問題ではない。中国財政省によると、一般公共予算に含む税収は21年11月、前年同月比13%減少した。2カ月連続のマイナスで、20年4月以来の2ケタ減となった。景気の減速に伴い、中央政府と地方政府で折半する増値税(付加価値税)などの伸びが鈍った。

中小企業などの資金繰り支援を目的とした納税猶予も、最近の税収が落ち込む一因だ。中国政府は21年11月から22年1月の納税申告期間にかけて、中小製造業の法人税(企業所得税)払いなどの先送りを認めた。猶予規模は約2000億元と見積もる。

地方財政が依存度を高めてきた土地収入も落ち込む。地方政府が国有地の使用権を不動産開発企業に売って稼いだ20年の収入は税収の5割超に相当した。ただ習近平(シー・ジンピン)指導部が不動産金融の規制を強めたことで、土地の売買も停滞している。

財政省によると、21年1~11月の売却収入は前年同期比4%増にとどまった。20年までの2ケタ増から失速した。米格付け会社S&Pグローバルは売却収入が22年に前年比20%、23年に同5%それぞれ減ると予測する。土地収入の減少は当面、地方財政の手足を縛る要因になりそうだ。

緊縮財政の流れは経済規模が大きい沿岸部にも広がる。「上海市の下級幹部の年収は24万元から15万元に減った」。インターネット上では、地方公務員の給与カットが話題になっている。

以前の給与削減や遅配は、省都クラスより小規模の中小都市が中心だった。最近では江蘇省や浙江省、広東省、福建省でも手当やボーナスの支給を減らしたり見送ったりする動きが出てきたという。

民間企業より待遇が恵まれた公務員の所得減少は消費に影を落とす。中小都市では、財政悪化に伴って地方政府が発行するインフラ債(専項債)の償還リスクが高まり、公共事業の執行にも支障が出る懸念もある。習指導部は22年秋に開く党大会を見据え景気への配慮を示すが、地方財政の逼迫が中国経済の復調の重荷となりかねない。

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