中国・李強首相「制裁乱用に反対」 米の禁輸念頭に演説

【博鰲(ボーアオ、中国海南省)=川手伊織】中国の李強(リー・チャン)首相は30日、アジアを中心に政財界の要人が集まる博鰲アジアフォーラムで講演した。米国による先端半導体などの対中輸出規制を念頭に「一方的な制裁の乱用に反対する」と語った。中国が主導する広域経済圏構想「一帯一路」などを通じて、経済のグローバル化を進める考えも示した。
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同フォーラムは中国が主催する大型の国際会議。李氏が国際会議で演説するのは、首相に就任してから初めてとなる。
李氏は名指しこそ避けたが激しさを増す米中対立を念頭に「貿易の保護主義とデカップリング(分裂)に反対する」と述べた。米国が主導して対中包囲網を強めていることへの警戒感が見て取れる。
これと対比する形で、李氏は中国がグローバル化を推進する姿勢を示した。アジア諸国とデジタル経済やグリーン経済の分野で協力していくと強調。「グローバルサプライチェーン(供給網)の安定を確保しなければならない」とも語った。
3月の中国経済は持ち直しが続いているとの認識を示した。李氏が演説した開幕式では、スペインのサンチェス首相やシンガポールのリー・シェンロン首相、マレーシアのアンワル首相らも挨拶した。