ソウル繁華街で雑踏事故、154人死亡 狭い路地に密集

【ソウル=細川幸太郎】韓国ソウル市の繁華街、梨泰院(イテウォン)の路上で29日夜、ハロウィーンを前に集まった若者らが狭い路地で転倒する事故が発生し、多数の死傷者が出た。消防当局によると154人の死亡が確認され、負傷者は100人超にのぼった。死傷者の多くが10~20代という。
日本政府関係者によると、日本人2人の死亡が確認された。被害に遭ったのは10代女性と、留学生(26)の女性とみられる。外国人の死亡者は14カ国の計26人にのぼった。
事故は29日午後10時すぎ、飲食店街の幅3メートルほどの狭い坂道に大勢の人が殺到して発生した。道を埋めた群衆が下り方面に次々と折り重なるように転倒し、下敷きになった人が呼吸困難に陥ったとみられる。
事故直後、SNS(交流サイト)には身動きできないほど人が密集する路地の様子や、駆けつけた救急隊員らが路上で負傷者に心臓マッサージする動画が次々と投稿された。
新型コロナウイルスの行動制限が緩和されて初めてとなるハロウィーン直前の土曜夜で、梨泰院には普段より多くの人出があった。10万人以上が訪れたとの情報もあり、飲食店が密集した通りには仮装を楽しむ人たちが集まっていた。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は30日、国民向け談話を発表し「起きてはならない悲劇と惨事が発生した」と話し、事態収拾に最善を尽くすと表明した。
韓国で死者数が100人を超える大規模な事故は、2014年に南西部で304人の死者・行方不明者を出した旅客船セウォル号の沈没事故以来となる。
梨泰院はクラブやバーなどのナイトスポットが多く、若者に人気のエリアだ。世界各国のレストランなどが立ち並ぶ国際色豊かな街で、外国人の居住者や観光客の往来も多い。近年は人気ドラマ「梨泰院クラス」の舞台にもなった。