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野党の尹氏、失言で苦戦 韓国大統領予備選

ベテラン洪氏が猛追

【ソウル=恩地洋介】2022年3月の韓国大統領選に向けた保守系野党「国民の力」の予備選が最終盤で接戦になっている。5日に大統領候補を選出する予定だが、有力視されていた尹錫悦(ユン・ソクヨル)前検察総長は相次ぐ失言で若年層の支持を失いつつあり、ベテランの洪準杓(ホン・ジュンピョ)議員の猛追を受けている。

「複数の世論調査をみると、大勢は洪準杓で固まった」。洪氏は10月31日、党本部で開いた記者会見でこう強調した。公共放送のKBSが29日に報じた世論調査で、洪氏は2位の尹氏に6.1ポイントの差をつけ、4人の候補のトップに立った。

9月に予備選が始まり、露出が増えるにつれて両氏の差は縮まった。尹氏は検察総長時代の疑惑が取り沙汰されたほか、労働政策を巡って「週に120時間働けるようにすべきだ」と語るなど問題発言を連発。与党側に格好の攻撃材料を提供し続けてしまった。

野党支持層にすら衝撃が走ったのは、10月1日のテレビ討論会だった。手ぶりを交えて話した尹氏の手のひらに漢字で「王」の字が書かれていた。

尹氏が呪術を信じているのではないかという臆測が広がった。弾劾された朴槿恵(パク・クネ)前大統領が、新興宗教の活動をする知人を国政に関わらせていた事件は、韓国人に悪夢のような記憶として刻まれている。

最近は、軍事クーデターを起こし民主化運動を弾圧した全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領を評価する尹氏の発言が物議を醸した。その直後にSNS(交流サイト)に投稿した犬とリンゴの写真も炎上した。

韓国語でリンゴは「サグァ」と言い、謝罪を意味する「謝過」と発音が同じ。犬を国民と見立てて謝るそぶりを見せたと受け取れる投稿で「国民を愚弄した」との批判の声が上がった。政治経験の乏しさも相まって、尹氏の指導者としての資質が争点化した。

一方、国会議員5期目の洪氏は、慶尚南道知事や旧自由韓国党の代表を経験し、17年大統領選にも出馬したベテランだ。主張や政策はわかりやすい。北朝鮮に対抗するため、米国の核兵器を韓国に配備すべきだとの持論や、死刑執行の再開などを唱えている。

主に20代、30代の男性の多くが洪氏を支持しているとされる。この世代は4月のソウル・釜山両市長選で政権与党を批判する声を上げ、与党惨敗の流れをつくった。言動の安定性を欠く尹氏に不安を感じ、洪氏への支持に転じた人は少なくない。

公認候補は党員投票と一般世論調査の結果で選ばれ、その重要度の比率は5:5だ。尹氏の陣営関係者は「党員投票は圧倒的に尹氏がリードしている」と自信を見せる。一般世論調査で負けても、党員票で逃げ切れるとの読みがある。

尹氏の支持を表明した党所属国会議員は30人を超えるが、洪氏の支持を明言した議員は2人にとどまる。保守系のテレビ朝鮮の調査では、野党支持層に限ってみると尹氏の支持率は約20ポイント先行する。

洪氏の陣営は、若年層の党員に期待をかけている。6月に36歳の李俊錫(イ・ジュンソク)氏が党代表に選ばれた後、党員数は2倍近くに増えた。新規入党者の4割超は20~40代だという。

5日に選ばれる候補は、大統領選の本選で与党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)前京畿道知事と対決する。弁が立ち、相手の隙を突く攻撃力に優れた李氏に対抗できる能力が求められる。

韓国ギャラップの調査で、保守系野党への政権交代を望む世論は52%に上る。尹氏と洪氏のどちらを選べば政権交代を実現できるかという判断も、党員らの投票行動を左右する。

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