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香港金融、中国が下支え 相互投資拡大で薄れる国際性

国安法施行から1年

(更新)
中国企業の香港上場が相次ぐ(5月、京東物流の上場セレモニー)=AP

【香港=木原雄士】香港国家安全維持法(国安法)の施行から30日で1年。経済面で中国本土に依存する香港の姿が鮮明になってきた。中国当局は香港の金融機能を維持するため、金融取引の拡大などの支援に乗り出す。香港は従来の国際金融センターから、中国の金融都市へと変貌しつつある。

「ボーダー(中国との境)はいつ開くのか」。いま、香港の日系企業の最大の関心は国安法でなく、中国本土との本格的な往来がいつ再開するかにある。新型コロナウイルスの感染拡大で行き来が難しくなり、中国本土に人員を移した企業もある。小さな香港から、いかに巨大な中国市場を取り込むかが各社の経営課題だ。

日本貿易振興機構(ジェトロ)などが4月に実施した香港の日系企業調査によると、国安法を懸念するという回答は51%に達した。だが、69%は「影響は生じていない」と答えた。国安法を理由とする企業撤退の動きは広がっていない。

中国当局は「国安法で香港が安定した」と主張し、主要産業の金融をテコ入れする姿勢を示す。香港と本土の間で金融商品の相互投資を認める「理財通」を年内にも解禁する。債券の相互取引でも、新たに本土から香港への投資を認める方針だ。

中国は人民元の流出を抑えるため、本土の資本規制を続ける。米国との対立もにらみ、企業が資金調達する場として香港の金融機能を維持したい考えだ。欧米の金融機関も中国企業に絡む業務を拡大するため、香港で陣容拡大に動く。

大手会計事務所デロイトによると、1~6月の香港取引所の新規株式公開(IPO)調達額は米ナスダック、ニューヨーク証券取引所に次ぐ世界3位だった。上海証券取引所を上回った。

英シンクタンクZ/Yenグループがまとめた最新の国際金融センター指数のランキングで香港は4位となり、2020年秋より順位を1つ上げた。指数作成に中国の機関も関与しているとはいえ、香港は中国との関係で金融都市として一定の存在感を保っている。

もっとも、1~6月に香港に上場した企業の8割弱は本土企業で、国際都市としての色彩は薄れている。香港に拠点を残しつつ、アジアの統括機能をシンガポールなどに移す企業もある。

国安法施行後、専門人材が香港を離れる動きも目立ってきた。在香港米国商工会議所が5月に実施したアンケートによると、駐在員の42%が「香港を離れることを考えている」と答えた。

中国への依存が深まれば、香港もいずれ、上海や深圳といったほかの本土の都市と変わらなくなる可能性もある。国際通貨基金(IMF)は6月に公表した金融システム安定性評価で、香港の銀行システムなどにお墨付きを与えたが、今後は「中国本土との広範な連携」がリスクになり得るとも指摘した。

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