/

香港選挙、審査で民主派排除 中国全人代常務委が審議

3月の全人代で選挙制度見直しの方針が決まった=ロイター

【北京=羽田野主、香港=木原雄士】中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)の閉会中に法案審議をする常務委員会は29日、民主派排除につながる香港の選挙制度見直しを審議した。民主主義の後退を懸念する米欧は批判を強めており、習近平(シー・ジンピン)指導部は早期決着で対抗する。

全人代常務委は原則として2カ月に1度のペースで開いてきた。今回は前回2月末から約1カ月後の開催で、異例のハイペースの審議となる。香港紙は常務委が30日に改正案を採決するとの見通しを伝えた。改正案などを審議する場合は原則2回の審議が必要だが、例外規定を適用し1度の審議になりそうだ。

中国は3月の全人代で選挙制度を見直す方針を決めた。その後、中国政府の高官が香港を訪れ、親中派などから意見を聴取した。香港側の意見を聞いた形を整え、正当性をアピールする狙いがあるとみられる。

常務委は選挙制度を定めた香港基本法の付属文書を改正し、香港での条例改正を経て適用される。香港立法会(議会)は親中派がほぼ独占しており、早期の成立は確実だ。

見直しの柱は候補者が「愛国者」かどうか審査する「資格審査委員会」の新設や、行政長官を選ぶ「選挙委員会」の権限強化だ。両組織は親中派で固める見通しで、資格審査委は当局の国家安全部門とも連携する。当局が愛国者でないと判断すれば、選挙から簡単に排除できるようになる。

現行の制度で、定数70の立法会は一般市民の投票で決まる枠と業界が選ぶ枠がそれぞれ35ずつある。業界枠は親中派に有利な仕組みだが、一般市民も投票を通じて選挙に参加できる。投票枠を徐々に広げてきたのが香港の民主化の歴史だった。

見直し後は定数が90に増え、選挙委に一定の議席を割り当てる。選挙委の枠を40、業界枠を30、投票枠を20とする案が取り沙汰されており、民意を反映する投票枠は大幅に減る見込みだ。民主派は選挙への立候補すら難しくなる可能性があり、民主化に向けた歩みは大幅に後退する。

20年の香港国家安全維持法の施行に続く民主派への締め付けとなる。著名な民主派の多くは収監され、抗議活動はほぼなくなった。習指導部は選挙制度の見直しを通じて、統治機構から民主派を徹底的に排除し、反中的な動きを完全に抑え込む狙いだ。

審議を急ぐ背景にはバイデン米政権や欧州の批判に譲らない姿勢を示すと同時に、早期の幕引きを図りたい思惑もある。東大の松田康博教授は「習指導部は米欧が再び中国当局者個人への制裁をするかもしれないが、米欧の不利益にもなる経済制裁には踏み込めないと見切っている」と指摘する。

3月18~19日に米アラスカ州で開いた米中外交トップによる協議の直前に米国は全人代幹部や香港の親中派らに制裁を科した。米中協議で王毅(ワン・イー)国務委員兼外相が報道陣を前に抗議する一幕もあった。

米英やカナダ、欧州連合(EU)は新疆ウイグル自治区の人権問題を巡り、中国に制裁を科し、中国も対抗措置をとるなど応酬が続く。香港の選挙制度の審議が長引けば米欧にさらに批判する「口実」を与えかねないと判断しているとみられる。

春割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で申し込むログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で申し込むログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で申し込むログイン