スズキ、インド生産を一時停止へ コロナ急増で酸素不足
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【ムンバイ=花田亮輔】スズキは新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、インドでの四輪生産を一時停止する。インドでは過去最多のペースで感染が増えており、治療に使う酸素不足が深刻な問題になっている。インド政府からは工業用の酸素を医療用に回す指示も出ており、取引先からの部品供給などに懸念が出ていた。
スズキ子会社でインド自動車最大手のマルチ・スズキが28日、北部ハリヤナ州のグルガオン工場とマネサール工場での生産を5月1日から9日にかけて停止すると発表した。「現在の状況において酸素は命を救うために使われるべきだと考える」(マルチ・スズキ)として、6月に予定していた設備のメンテナンスを前倒しするかたちで生産を止める。
同社が27日に開いた決算説明会で同社のバルガバ会長は「フル稼働で生産している」と説明したが、先行きについては「何が起こるか誰にも分からない」と明言を避けていた。同じくスズキの四輪子会社であるスズキ・モーター・グジャラートも、西部グジャラート州の工場を同様に停止するという。インドにあるスズキの四輪生産が全て止まる。
インドでは足元で新型コロナの感染が急増している。4月に入ってからは1日あたりの新規感染者数が30万人を超え、20年のピーク時と比べても3倍以上の水準となっている。各地で外出制限が出ているほか、病床や酸素が不足するといった医療体制の危機に直面している。
トヨタ自動車もインドのTKM(トヨタ・キルロスカ・モーター)が南部カルナタカ州の工場について、メンテナンスを理由に4月26日から5月14日までの操業停止を発表している。