マレーシア、6月1日から再び全土都市封鎖 感染拡大で
(更新)

【シンガポール=中野貴司】マレーシアのムヒディン首相は28日、6月1日から14日まで全土でロックダウン(都市封鎖)を実施すると発表した。日常生活に不可欠な業種以外の操業を禁止する。新型コロナウイルスの新規感染者数が連日、過去最多を更新しており、2020年3~5月以来の厳しい規制の再導入を余儀なくされた。
首相府は28日の声明で「感染力の強い変異ウイルスによって、1日あたりの新規感染者数が8000人を超え、全土の病院の対応能力も限界に近づいている」と説明し、都市封鎖の必要性を強調した。都市封鎖によって感染者数が減少した場合は「第2段階」に移行し、操業可能な業種を広げる方針だ。第2段階を4週間続けた上で、大半の業種の操業を認める「第3段階」に移行するかどうかを検討する。
ムヒディン氏は23日、地元メディアのインタビューで都市封鎖を実施すれば、経済が破綻する恐れがあり、財政負担も膨大になるとして、都市封鎖に否定的な考えを表明していた。ただ、その後も新規感染者数が増え続け、わずか5日で方針転換を強いられた。
前回の事実上の都市封鎖が経済活動に深刻な影響を与えた20年4~6月期は実質国内総生産(GDP)が前年同期比で17.2%減少した。21年4~6月期はその反動で大幅なプラス成長が見込まれていたが、都市封鎖の再導入によって、景気回復のペースが鈍化するのは確実だ。

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