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フィリピン大統領選、対中国で候補に差 南シナ海争点

世論調査ではトップのサラ・ドゥテルテ氏(2019年、フィリピン南部ダバオ市)=ロイター

【マニラ=志賀優一】中国が実効支配を強め、米国や周辺の東南アジア諸国と対立する南シナ海を巡る問題が、2022年5月のフィリピン大統領選で主要な争点の一つになりそうだ。現職のドゥテルテ氏は対中融和が鮮明だが、憲法は再選を禁じる。世論調査でトップの長女は姿勢を明確にしないが、父の路線を踏襲するとの見方が多い。一方、融和姿勢に反発する候補もいる。

「ただの紙切れだ。捨ててやる」。ドゥテルテ氏は5日、南シナ海で中国が主張する独自の境界線「九段線」には国際法上根拠がないと認めたハーグの仲裁裁判所による16年の判断を批判した。中国は南シナ海のほぼ全域で事実上の主権を主張してきた。

ドゥテルテ氏の発言は、結果として中国の主張に配慮を示した。3日には新型コロナウイルスのワクチンで有効性が欧米製より低いとされる中国製の接種を進んで受けた。

南シナ海ではフィリピンが排他的経済水域(EEZ)と主張する海域で多数の中国船が3月から停泊を続ける。中国側は「悪天候で避難した漁船」だと主張。フィリピン側は「多くの海上民兵が乗船」と考えているが、対中批判は抑え気味だ。

ドゥテルテ氏が中国からの経済支援を期待しているためだが、ソーシャル・ウェザー・ステーションズの20年7月の調査では中国への信用度は「マイナス36%」で、信用していない度合いが高い。中国船の「居座り」でさらに悪化している可能性が高い。

有力とみられる各候補の姿勢はまちまちだ。

2~3月に調査会社パルスアジアが実施した世論調査で支持率がトップ(27%)だったドゥテルテ氏長女で南部ダバオ市長、サラ・ドゥテルテ氏(42)は対中姿勢を明示していない。父の外交路線を引き継ぐとの見方は多いが、20年には米政府主催のテロ対策セミナーに参加するため訪米した。米中対立の行方を見極めようとしている可能性もある。日本経済新聞の取材には対中姿勢について「ノーコメント」と回答した。

ドゥテルテ政権に批判的なカルピオ元最高裁判事は「外交政策で現政権とほとんど変わらない候補は多い」と語る。長期政権を維持したマルコス元大統領の長男、ボンボン・マルコス元上院議員(63)は親中姿勢で知られる。マニラのイスコ・モレノ市長(46)も社会福祉開発省幹部としてドゥテルテ政権を支えた経験がある。

一方、16年の前回大統領選に出馬した国民的俳優の養女、グレース・ポー上院議員(52)は日本経済新聞に「フィリピンの法的勝利である16年の仲裁裁判所の判断を強く主張する」と述べた。

フィリピンを含む東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国に対し、中国の南シナ海進出を念頭に「領有権を争う海域での事実上の支配を避けるために行動を起こすべきだ」と強調した。

プロボクシングの英雄、マニー・パッキャオ上院議員(42)は現地メディアで、政府の南シナ海問題への対応に不満を表明した。「ドゥテルテ氏が強い姿勢を続けることが、中国に私たちを尊重させることになる」と主張した。

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