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徴用工訴訟、迫る現金化 動かぬ文政権

【ソウル=恩地洋介】日本企業に賠償を命じた元徴用工訴訟を巡り、韓国地裁が同社の資産売却を原告に命じ、現金化に向けた手続きが一歩進んだ。日本政府は企業に実害が及んだ段階で対抗措置を取る構えだが、任期満了が近づく文在寅(ムン・ジェイン)政権の動きは鈍い。

27日に売却命令が出たのは元朝鮮女子勤労挺身(ていしん)隊の女性が三菱重工業を相手取った訴訟。2018年11月に賠償命令が確定し、原告は同社のロゴマークを含む商標権2件と特許権6件を差し押さえていた。

大田地裁はこのうち商標権と特許権を各2件ずつ売却し、1人あたり2億973万ウォン(約2000万円)を確保するよう原告に命じた。大法院(最高裁)が命じた賠償金と遅延損害金などを含む。

三菱重工は即時抗告する方針だ。是非は三審制で争われるため、最終判断までには数カ月を要する。韓国紙の東亜日報は、裁判所による書類の送付手続きなどを含めると実際の現金化までには1年近くかかるとの見方を伝えた。

日本政府は茂木敏充外相が28日の記者会見で「国際法違反の状態を是正し、日本側が受け入れ可能な解決策を示すよう強く求める」と述べた。外務省は東京とソウルの外交ルートを通じ、韓国政府に抗議した。

韓国政府は同日、外務省報道官が定例の記者会見で「すべての当事者が同意できる解決のため、速やかに韓日両国間の協議が進むことを期待する」と述べ、外交協議を通じた解決を主張した。

文大統領は今年1月の記者会見で「資産の現金化は韓日関係に望ましくない」との認識を示したが、具体策を打ち出すには至らなかった。原告側が判決の履行を強く求めている事情もある。

文氏は菅義偉首相との首脳協議に委ねようと、7月の東京五輪開会式に合わせた来日を検討したが「成果が見込めない」と見送った。文氏の任期は22年5月に迫る。司法手続きの進み具合では、懸案が次期政権に持ち越される可能性もある。

日本は現金化の実行を、容認できない一線とみなす。現金化の流れが止まらないと判断した場合、駐韓日本大使の召還や一時帰国などの措置を取る可能性がある。

最近では17年1~4月に釜山の慰安婦少女像設置への対抗措置として、当時の長嶺安政大使を一時帰国させた。自民党内には経済に関連する制裁措置を求める声がある。

韓国企業との合弁会社の株式を差し押さえられた日本製鉄を巡る資産の現金化手続きも進んでいる。大邱地裁は8月、資産差し押さえ命令を不服とする同社の即時抗告(二審)を棄却した。最高裁が棄却の判断を下せば、売却命令は時間の問題となる。

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