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米、インドへのワクチン追加支援27億円 外相会談

中国に対抗、クアッド協力拡大探る

(更新)
記者会見するブリンケン米国務長官(左)とインドのジャイシャンカル外相=ロイター

ブリンケン米国務長官は28日、訪問先のニューデリーでインドのジャイシャンカル外相と会談した。ブリンケン氏は新型コロナウイルス対策でインドに2500万ドル(約27億円)追加支援すると表明した。米印に日本、オーストラリアを加えた「Quad(クアッド)」の協力も確認した。

会談後の共同記者会見でジャイシャンカル氏は「ワクチンをグローバルに入手しやすくするため、(会談では)生産拡大に焦点を当てた」と話した。ブリンケン氏は「パンデミックを終わらせる」と述べ、米国からインドのワクチン供給拡充に向けて2500万ドルを支援すると語った。同日にはモディ首相とも会った。

バイデン政権の閣僚の訪印は3月のオースティン国防長官に続くもので、米国は中国を念頭に置いた「インド太平洋戦略」でインドを要と位置づけて関係強化に動く。国境係争で中印対立が長引き、米国はインド取り込みの好機とみる。

米国の支援表明の背景にあるのはワクチン不足だ。クアッドは3月に新興国向けのワクチン供給策をまとめた。インドの生産能力を生かして2022年末までに約10億回分のワクチンを供給する方針だったが、インドは直後に感染再拡大で国内の感染者数が急増した。医療崩壊の危機に直面したインド政府は3月下旬ごろからワクチンの輸出制限に踏み切っている。

インド外務省の担当官は7月の記者会見でワクチンについて「当面は国内需要を優先する」と述べるなど、輸出再開の見通しは不透明だ。インドの新規感染者数は足元でピーク時の10分の1にまで減少したが、ワクチンを1回以上接種した人の割合は27日時点でも25%程度にとどまる。

インドからのワクチン供給を当て込んでいた近隣諸国への影響は大きく、スリランカは6月に日本に対してもワクチン供給を要請した。こうした事態を踏まえ、米国はインドへの支援を決めたもようだ。

中国は自国製のワクチンの輸出を進めてきた。中国の影響力拡大を警戒する米国はインドへの医療支援を続けつつ、クアッドや主要7カ国(G7)の枠組みを通じたワクチン供給の拡大をめざす。クアッドなどの枠組みを通じて、インド太平洋地域などの安定に取り組む姿勢も強調した。

アフガニスタン情勢も議題となった。ジャイシャンカル氏は「アフガニスタンをテロの本拠地にしてはならない」と指摘した。同国は8月末の米軍撤収が近づくにつれて反政府武装勢力タリバンが攻勢を強め、治安悪化が著しい。米国はアフガンに近接するインドの関与が地域の安定につながるとみる。

インドは米国に米軍の撤収後の関与継続を促すとともに、長らく対立してきたパキスタンにテロ掃討作戦で役割を果たすよう米国が圧力をかけることを期待する。ブリンケン氏は「米軍撤退後も関与を続ける」と述べた。

米シンクタンク「民主主義防衛財団(FDD)」によると、タリバンの支配地域は7月26日時点で223と、4月13日時点での77から3倍に増えた。アフガン政府は24日、同国の広範囲で夜間外出制限令を導入した。34州のうち、首都カブールなどを除く31州で実施している。

一方で米印には火種もある。米メディアはイスラエルのサイバー企業が開発した犯罪監視用の「スパイウエア」のソフトが少なくとも10カ国・地域に販売され、記者や人権活動家らのスマートフォンから情報を盗み出していたと報じている。インドはその「顧客」として名指しされたが、インド政府は疑惑を否定している。

(花田亮輔、ワシントン=永沢毅)

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