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東南ア、経済成長伸び悩み コロナ再拡大響く

【マニラ=志賀優一、ヤンゴン=新田裕一】アジア開発銀行(ADB)は28日、東南アジアの国内総生産(GDP)の前年比伸び率が2021年に4.4%になる見通しだと発表した。前回予測(5.2%)から下方修正した。新型コロナウイルスの感染拡大で大幅に落ち込んだ20年からは持ち直すが、感染の再拡大で個人消費の回復は鈍く伸び悩む。経済活動が停滞するミャンマーの問題もくすぶる。

東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国に東ティモールを加えた東南アジア地域の21年のGDP成長率はコロナ前の19年と同水準にとどまる。アジア新興国(アジア太平洋地域の46カ国・地域)全体では21年に7.3%と、20年(マイナス0.2%)の落ち込みの反動で19年(5%)の伸びを大幅に上回る見通しで、東南アジアの伸び悩みが目立つ。

21年のミャンマーのGDP成長率はマイナス9.8%と予測した。新型コロナの感染が拡大する前の19年のプラス6.8%、20年の同3.3%と比べて大幅な落ち込みだ。ADBはミャンマーの財政年度にあわせ、20年10月~21年9月を「21年」と表記している。20年後半から新型コロナ感染が広がったうえ、21年2月1日に起きた国軍のクーデターにより経済活動が全面的に止まったことが要因だ。

「130世帯のうち収入があるのは30世帯」。ミャンマーで、貧困世帯の多いヤンゴン近郊のある村の住民男性はこう話す。家財を知人に売ったり、親類から借金をしたりして工面する。村には建設現場の日雇い労働者が多かったが、市内では半分以上の現場で工事が中断したままだ。クーデター以降、公務員や銀行・物流などの基幹産業でも、職務を放棄する「不服従運動(CDM)」が続く。

国連の世界食糧計画(WFP)は、今後6カ月以内に最大340万人が収入源を絶たれ、食料品を十分買えなくなる恐れがあると指摘した。建設現場や工場で働いていた労働者が失職するほか、貧困層の頼みの綱である国内外からの仕送りが銀行閉鎖の影響で受け取れなくなると予測した。

東南アジアでは新型コロナの感染者が再び増加している国があり、先進国に比べワクチンの確保や接種が十分でないことが経済回復を鈍くしている。ADBの沢田康幸チーフエコノミストは「東南アジアのなかで経済や人口規模が大きいインドネシアやフィリピンなどで消費行動の回復に欠ける」と指摘する。

GDPの7割以上を消費が占めるフィリピンは、変異型のウイルスの感染を抑制するため3月末から再び厳しい行動制限を実施している。かつてにぎわっていたショッピングモールは閑古鳥が鳴き、交通量も大幅に減った。世界各国・地域での移動制限が続けばタイの観光業にも痛手だ。

沢田氏は「新型コロナのパンデミック(世界的な流行)はなおリスク。感染抑制のコントロールと経済再開のタイミングでかじ取りが求められる」と警鐘を鳴らす。

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