ファーウェイ、1~9月2%減収 5G関連堅調で下げ幅縮小

【広州=川上尚志】中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)が27日発表した2022年1~9月期の売上高は前年同期比2.2%減の4458億元(約9兆円)だった。減収率は1~6月期(6%)から改善した。米政府の制裁を受けてスマートフォン関連は厳しい状況が続く一方、高速通信規格「5G」やクラウドなどの関連サービスが伸びた。
ファーウェイは四半期別の売上高を自ら開示していない。7~9月期は前年同期比6.5%増となった計算で、2四半期連続で前年実績を上回った。
スマホなどの端末事業は、米政府による輸出規制を受け、高性能半導体の調達が厳しく制限された影響で低迷が続く。ただ電気自動車(EV)向け部品などは伸びたもよう。通信会社や法人向けの事業は堅調で、5Gの活用では様々な産業で5000件以上のプロジェクトを進めたほか、クラウドサービスも中国内外で受注を伸ばした。
徐直軍(エリック・シュー)副会長兼輪番会長は同日の発表文で「全体的な経営成績は予定通りだ。端末事業は下げ止まりつつあり、ICT(情報通信技術)インフラ事業は安定した成長を保った」と説明した。
ファーウェイを巡っては、米政府が安全保障上の懸念を理由に19年から段階的に輸出規制などの制裁を強めてきた。ファーウェイは制裁の影響を大きく受けたスマホ事業の落ち込みを補うため、デジタル化や「脱炭素」関連のサービス、EVの部品やシステムなどに注力している。
米政府は同社を含む中国のハイテク関連企業に対する厳しい姿勢を変えていない。ファーウェイにとっては、今後も先行きを楽観できない状況が続くとみられる。