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南北首脳、親書で関係改善に合意 約1年ぶりに通信復旧

2018年4月、板門店で会談する南北首脳=AP

【ソウル=恩地洋介】韓国と北朝鮮は27日、南北両首脳が親書を交わし、関係改善を図る考えで一致したと発表した。北朝鮮は1年余り断絶していた韓国との直通の通信回線を復旧させた。食糧不足が深刻さを増すなか、文在寅(ムン・ジェイン)政権による対話再開の呼びかけに乗り、窮地からの打開を探る狙いとみられる。

韓国大統領府によると、文大統領は4月以降、複数回にわたり金正恩(キム・ジョンウン)総書記との間で親書をやりとりした。北朝鮮の朝鮮中央通信は27日、両首脳の親書について「互いに信頼を回復し、和解を図る大きな一歩を踏み出すことで合意した」と伝えた。

南北の軍当局は27日午前10時に通信回線を復旧させた。有線通話やファクスを使った通知文の交換が可能になる。韓国統一省が運用する平壌との直通回線も復活し、今後は午前と午後に1回ずつ連絡を取り合うことになった。27日は朝鮮戦争の休戦協定が締結されて68年の記念日にあたる。

北朝鮮は2020年6月、韓国の脱北者団体が金正恩体制を批判するビラを大型風船で飛ばしたことに反発。金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党第1副部長(当時)による主導の下、通信回線を遮断し、開城(ケソン)の南北共同連絡事務所を爆破した。それ以来、公式の連絡ルートは断たれていた。

文政権は南北関係の行き詰まりを受け、東京五輪の開催を契機とした対話再開を唱えてきた。20年秋に来日した朴智元(パク・チウォン)国家情報院長は、日米南北の4者による首脳会談の開催を提案した。

今年5月に訪米した文氏はバイデン米大統領にも北朝鮮との非核化交渉の再開を訴えた。文氏が五輪開会式への出席を検討したのも、対話に向けた国際社会の機運を醸成したい考えがあったようだ。文氏の任期は22年5月までで、念願の南北融和を前進させるには残り時間が乏しくなっている。

一方、北朝鮮側は米国に追従する韓国の姿勢に強い不満を示してきた。金与正氏は3月、弾道ミサイル発射をけん制した文氏を「米国産のオウムだ」と非難した。

態度を一変させたのは、国内の苦境が影響した可能性がある。昨年来、経済制裁の長期化と新型コロナウイルスの感染拡大による中国との貿易中断に、水害が追い打ちをかける「三重苦」に直面。金正恩氏は6月に「人民の食糧事情が切迫している」と窮状を訴えた。

北朝鮮の報道によると、今夏は猛暑による干ばつが深刻だ。26日の朝鮮中央通信は、7月中旬までの降水量が全国平均で平年の25%ほどにとどまり、過去40年間で2番目に少ないと報じた。

北朝鮮指導部は中国との貿易を再開しようとしたが、新型コロナの収束が見えず陸路を開けずにいる。金正恩氏が市民の不満を抑えるため、意図的な減量を余儀なくされたとの見方が出るなど、食糧危機は統治にも影を落としているとみられる。

南北関係の改善に目を向けた金正恩氏の意図について、専門家は「韓国が制裁解除論の先頭に立つことを期待している」(韓国・峨山政策研究院の車斗鉉首席研究委員)と指摘する。

金正恩氏は18年にも文政権を利用して米国との対話に結びつけた。米韓両政府は8月に毎年定例の合同軍事演習を予定しており、文政権を演習の中止や規模縮小に動かす思惑も見え隠れする。

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