/

英艦船、台湾海峡を初めて通過 米と連携し中国へ圧力

【台北=中村裕】英海軍の最新鋭空母の打撃群を構成する軍艦「リッチモンド」が27日、台湾海峡を通過して南シナ海に向かったことが分かった。攻撃能力のある英軍艦の台湾海峡通過が公になるのは初めて。同盟国の米国なども含め今後、南シナ海周辺での活発な動きが予想される。中国との緊張が一段と高まる可能性がある。

台湾海峡の通過は、同艦の公式ツイッターで明らかになった。通過したのは、英空母クイーン・エリザベスを中核とする空母打撃群を構成するフリゲート艦。

中国大陸と台湾は、約200㌔㍍の台湾海峡で隔てられている。同海峡を他国の軍艦などが通過することについて、中国大陸と台湾は1つの国に属するという「一つの中国」を唱える中国政府は以前から、「中国の主権に対する侮辱行為。『台湾独立』勢力に誤ったシグナルを送り、台湾海峡の平和と安定を脅かす」と強く反発してきた。

これに対し、米国は「台湾海峡の通過は、自由で開かれたインド太平洋への関与を示すもの。米軍は国際法の許す場所であればどこでも航行し、作戦を展開する」との立場を貫く。今年も延べ10回、軍艦などを通過させた。

もっとも、米以外の他国は中国への刺激が強すぎるとし、これまで台湾海峡の通過は手控えてきた。直近4年間で明らかになっているのは、2018年10月にオーストラリアが1回、19年4月と21年5月にフランスが各1回。英の通過は今回が初めてだ。

背景には、9月15日に創設が発表されたばかりの米英豪の安全保障協力の枠組み「AUKUS(オーカス)」があるとみられる。中国に対抗する事実上の軍事同盟ともいわれ、英国は米国などと足並みをそろえる形で今回、台湾海峡の通過に踏み切ったものとみられる。

台湾国防部(国防省)のシンクタンク、国防安全研究院の蘇紫雲所長は「今回の英艦船の行動は、中国が台湾に対し軍事的な行動を取らないようにする強いけん制、メッセージだ。AUKUSの創設で英国のインド太平洋での活動は今後も増えていくだろう」と指摘した。

欧州諸国のアジアや南シナ海への関与は今年に入って顕著になっている。特に英海軍は活発で、空母クイーン・エリザベスを中核とする空母打撃群は5月に英国を出発し、7月中旬にはインド洋でインド海軍などと共同訓練を行った。今月4日には、日本に初めて寄港し、米海軍横須賀基地(神奈川県)に入港するなど、アジアで存在感をみせる。

台湾メディアなどによると今後、英クイーン・エリザベスは南シナ海に入る。オーストラリア、シンガポール、マレーシア、ニュージーランドとの軍事同盟「5カ国防衛取り決め(FPDA)」による10月初旬からの合同軍事演習に参加するのが目的だ。

さらに南シナ海には、既に米原子力空母「ロナルド・レーガン」が待機する。豪州の艦船とも南シナ海で合流し、10月中にも、AUKUS初の3カ国の合同軍事演習に踏み切り、南シナ海の大半の領有権を主張する中国に対抗する可能性があるという。

初割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン