LGDが3300億円の赤字、22年12月期 コロナ特需消失

【ソウル=細川幸太郎】韓国LGディスプレー(LGD)が27日発表した2022年12月期の連結最終損益は3兆1960億ウォン(約3300億円)の赤字だった。前の期は1兆3340億ウォンの黒字で、過去最大の赤字額となった。新型コロナウイルス下の在宅勤務の普及で好調だったパソコン向けパネルの需要が消失したことが響いた。
売上高は前の期比12%減の26兆1520億ウォン、営業損益は2兆850億ウォンの赤字(前の期は2兆2310億ウォンの黒字)となった。有機ELパネル設備の資産価値の再評価で1兆3305億ウォンの特別損失を計上し、最終損益をさらに押し下げた。

不振の主因は「コロナ特需の消失」だ。20年の感染拡大期に世界で在宅勤務や遠隔授業が浸透し、パソコンやタブレット端末に搭載する液晶パネルの需要が急増。同分野で世界大手のLGDに需要が集中した。ただ22年に入ると需要は一気に減退し、パネル価格の急落によってLGDは4〜6月期に営業赤字に陥っていた。
一時的な需要増で覆い隠されていたものの、底流では中国企業の液晶パネルの性能向上が進んでいる。特需後のLGDが黒字化する道筋は見えないままだ。
LGDは22年末に国内液晶工場の稼働を停止し、有機ELパネルに集中するとしている。しかし有機EL分野でも京東方科技集団(BOE)など中国勢の台頭が進む。
決算発表後の電話会見で、LGDは在庫圧縮や合理化策などで「23年下半期には黒字転換する」と説明。ゲームや車載分野での需要を取り込む計画を明らかにした。