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中国、中小銀に公的資金6.3兆円追加注入 インフラ債で

【北京=川手伊織】中国政府は、中小銀行に3200億元(約6兆3000億円)の公的資金を注入する。2020~21年に投じた2100億元に続く第2弾だ。インフラ債で調達した資金を使う。中国では新型コロナウイルスの感染封じ込めを狙う「ゼロコロナ」政策で景気が悪化し、地方経済の柱である不動産業も低迷する。政府は資本増強で不良債権リスクに対応させる方針だ。

中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)や財政省は、8月までに3200億元に上る資本注入用の債券発行枠を地域ごとに割り当てる計画だ。すでに1030億元分の発行枠を6月までに、遼寧、甘粛、河南の3省と遼寧省大連市に分配した。

地方政府は域内の中小銀行の増資に応じる形で、調達した資金を注入する。遼寧省は今春、135億元を丹東銀行や営口銀行など省内5行に注入した。

国務院(政府)は20年7月、地方政府が専項債と呼ぶインフラ債で調達した資金を中小銀行に注入することを認めた。新型コロナのまん延で、中小零細企業の倒産が相次いだためだ。

米ピーターソン国際経済研究所は20年1~6月に中国全体の6%にあたる約230万社が倒産したと分析した。銀行の不良債権も膨らんだ。20年6月末時点で19年末より13%増えた。

21年末までに計2100億元を約300行に資本注入し、中小銀行の経営体力はいくぶん持ち直した。21年末時点の自己資本比率は、日本の地方銀行に相当する都市商業銀行が13.1%、農協に相当する農村商業銀行が12.6%だ。20年末と比べて0.1ポイント、0.2ポイントそれぞれ上がった。

それでも同じ期間に0.8ポイント改善して17.3%となった大手行との差はむしろ広がった。経営体力が劣る中小銀行は、公的資本の注入以外には資本調達のチャネルも限られる。

22年春には、ゼロコロナ政策などで景気が悪化した。中小銀行が顧客とする中小零細企業の経営も落ち込んだ。地方経済の柱である不動産業も、政府による金融規制の強化で低迷している。

不動産開発会社が資金不足に直面し、各地で工事が止まり竣工が遅れる事例が増えた。7月に入ると、未完成物件の持ち主が住宅ローンの返済を拒否する動きが広がった。銀行貸し出しの2割を占める住宅ローンの焦げ付きリスクへの警戒も強まっている。

河南省などの小規模銀行では今春から、金融犯罪が絡んだ預金の引き出し停止も起きた。中小銀行全体の経営環境が悪いなか、社会不安を呼びかねないと政府も警戒する。

こうしたなか、銀保監会は銀行に不良債権処理を促している。22年1~6月の処理額は前年同期比18%増となった。なかでも中小銀行は1~5月で同37%増と、処理の多さが目立つ。3200億元に及ぶ新たな公的資金の注入は不良債権処理の加速に備えた措置といえる。

国務院は5月、ゼロコロナ政策で悪化した経済を立て直すための景気対策を打ち出した。中小零細企業や個人事業主の借り入れのほか、新型コロナで収入が落ち込んだ個人の住宅ローンなどを巡り、元利返済を猶予するよう銀行に促している。

返済の繰り延べは年末に期限を迎える。期限の先延ばしがなければ、潜在的な不良債権のマグマが一気に噴き出す可能性もある。

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