韓国の盧泰愚・元大統領が死去 88歳、民主化を宣言

【ソウル=恩地洋介】韓国の盧泰愚(ノ・テウ)元大統領が10月26日、ソウル市内の病院で死去した。88歳だった。1987年に大統領候補として民主化を宣言し、88年2月に第13代大統領に就任した。同年のソウル夏季五輪を成功させ、南北の緊張緩和や社会主義国との関係構築に努めた。
93年の大統領退任後は不正蓄財で無期懲役の一審判決を受けた。前任の大統領である全斗煥氏とともに起こした軍事クーデターを巡る罪などにも問われ、最高裁は懲役17年の判決を下したが、金泳三大統領の特赦で釈放された。2002年に前立腺がんの手術を受けた後、健康状態が悪化し寝たきりの生活を送っていた。
盧氏は韓国南東部の慶尚北道(現在の大邱市)で日本統治下の1932年に生まれた。側近として支えた全斗煥元大統領とは陸軍士官学校の同期だった。
87年の大統領選は、野党の分裂に助けられた。有力候補であった金泳三、金大中、金鍾泌の3氏の得票が割れるなか、36.6%の得票率で当選した。就任後は金泳三、金鍾泌の両氏と保守連合を組み、巨大与党をつくった。
冷戦崩壊を踏まえ、旧共産圏の国々との積極外交を展開した。旧ソ連や中国と国交を樹立し、北朝鮮とは敵対関係の解消に動いた。91年には南北が国連に同時加盟し、互いの和解や不可侵をうたった南北基本合意書を締結した。
90年5月に日本を訪れた際には、歴史問題を巡る日本側の踏み込んだ発言を求めた。天皇陛下(現上皇さま)が晩さん会で「痛惜の念を禁じえません」と述べられ、盧氏は「韓国国民はいつまでも過去に束縛されていることはできません」と応じた。
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