TikTok、米集団訴訟で和解へ 97億円支払い

【上海=松田直樹】動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を運営する北京字節跳動科技(バイトダンス)は26日までに、米国のアプリの利用者が個人情報の取り扱いを巡って起こした集団訴訟で、原告側に9200万ドル(約97億円)を支払って和解することを決めた。ロイター通信が報じた。
原告側は「収益を得る目的でティックトックのアプリが利用者の端末に入り込み、生体認証データなどの幅広い個人情報を収集している」と主張していたという。訴訟は1年以上続いていた。正式な和解には今後、裁判所の承認を得る必要がある。
ロイター通信によると、バイトダンス側は「双方の主張は異なったままだが、長い訴訟を続けるよりもサービスを提供することに専念する」としている。
ティックトックを巡っては、個人情報が中国政府に流出し安全保障上の脅威になるとしてトランプ前政権が米国事業の売却を2020年に命じた。その後、米オラクルや米ウォルマートと米国に新会社を設立する案で基本合意したが、最終期限としていた20年12月までに正式な合意には至らなかった。
米メディアは政権交代でティックトックの米国事業の売却が棚上げされたと報じており、バイデン政権のもとで安全保障上のリスクについて再検討するとしている。