台湾・蔡英文総統、党トップを辞任 地方選で与党大敗

【台北=龍元秀明】台湾で4年に1度の統一地方選が26日、投開票された。蔡英文(ツァイ・インウェン)総統率いる与党・民主進歩党(民進党)は、台北市など主要都市で相次ぎ首長ポストを落として大敗した。蔡氏は同日夜、責任を取り党トップの党主席を辞任すると表明した。総統としての職務は続けるが、政権への打撃は避けられない。
蔡氏は26日夜、台北市内で記者会見し、「結果は期待通りでなかった。責任は全て私にある」と述べた。

同選挙は2024年1月の次期総統選の前哨戦と位置づけられる。台北市など全22県市(一部は12月18日に延期)の首長を選出した。
26日深夜に確定した選挙結果によると、同日投開票の21県市の首長ポストは、民進党が5、国民党が13、台湾民衆党が1、無所属が2だった。
対中強硬路線の民進党は、18年の前回統一地方選でも首長ポストを13から6に減らして大敗したが、今回は18年からさらに桃園市などの主要県市の首長ポストを失い、後退した。
野党・国民党は全人口の約7割が集中する直轄6市のうち、4市の首長ポストを確保し、現行2市から上積みした。民進党は3市から2市に減らした。国民党トップの朱立倫主席は26日夜、「これは国民党の勝利だけではなく、台湾のすべての人々の勝利となったことに感謝したい」と述べた。
台北市長選は元総統・蔣介石のひ孫にあたる国民党の蔣万安氏(43)が勝利した。もともと民進党が強い桃園市の市長選も、国民党の張善政氏(68)が競り勝った。
蔡氏は選挙戦終盤で、台湾への統一圧力を強める中国への対抗を強く訴えた。新型コロナウイルス対策など内政問題での批判をかわせず、大敗につながった。次期総統選に向け親中の国民党が勢いづく形となり、蔡政権の今後の対中政策に影響する可能性がある。
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