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豪「2050年排出ゼロ」表明 水素などに10年で1.7兆円

【シドニー=松本史】オーストラリアのモリソン首相は26日、2050年までに国内の温暖化ガス排出を実質的になくす目標を表明した。資源国の豪州は主要な先進国で唯一、ゼロ目標を掲げていなかった。第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)が迫るなか、国際社会の圧力に抗しきれなかった。

26日に記者会見したモリソン氏は実質ゼロは「技術が主導して進めるものだ」と述べ、増税や電気料金上昇など国民の負担増にはつながらないと強調した。「石炭やガスの生産、輸出は止めない。(実質ゼロは)農業や資源分野の雇用を犠牲にするものでもない」と話し、国内の資源産業に配慮を示した。

実質ゼロに向け、豪政府は今後10年間で低炭素技術に200億豪ドル(約1兆7000億円)を投資する。燃やしても水しか出ない水素や、二酸化炭素(CO2)を回収して貯留するCCS技術などが対象となる。

50年までに風力や太陽光など再生可能エネルギー、蓄電池、水素を活用して発電時に排出する温暖化ガスを05年比で91~97%削減することを目指す。電気自動車(EV)の充電スタンドや水素ステーションの設置を進め、交通部門の排出量も最大で同71%減らす。

モリソン氏は「豪州は05年比ですでに20%以上の排出を削減した。同時に経済の規模は拡大し、300万人の雇用が生まれた。農産品や資源の輸出も増加した」と述べ、排出削減と経済成長は両立できると訴えた。

豪政府が発表した実質ゼロは国内の排出が対象で豪州が輸出する石炭や天然ガスから出るCO2は含まない。石炭や天然ガスの輸出先である日本と韓国、中国はいずれも実質ゼロの目標を掲げており、豪州の資源産業の縮小は避けられない。

豪州の資源・エネルギー企業はすでに水素への投資を始めた。日本に液化天然ガス(LNG)を輸出するウッドサイド・ペトロリアムは今月、豪西部に大規模な水素・アンモニア製造設備を建設する計画を発表。鉄鉱石大手のフォーテスキュー・メタルズ・グループもタスマニアで水素を製造し、日本などに輸出することを検討する。

英調査会社ウッドマッケンジーのプラカシュ・シャルマ氏は政府の発表を受け、「豪州は伝統的なエネルギー産業や輸出部門を抜本的に変革する必要があるが、(水素輸出などで)将来の収益を生み出す好機でもある」と指摘した。

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