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北朝鮮、小出しの挑発 米国の反応探る

23日、平壌で演説する金正恩総書記=朝鮮中央通信・共同

北朝鮮が25日、約1年ぶりに2発の短距離弾道ミサイルを日本海に向けて発射した。バイデン米政権が対北朝鮮政策のとりまとめを進めるなか、小出しの挑発を繰り出して、米国の反応を探る狙いとみられる。日米韓3カ国の安全保障連携を試す意図もありそうだ。

防衛省や韓国軍によると、ミサイルは午前7時すぎと7時半前に、東部の咸鏡南道・咸州(ハムジュ)から1発ずつ発射された。飛行距離は約450キロメートル、高度は約60キロメートルで、排他的経済水域(EEZ)外に落下した。

日本政府は、2019年以降に北朝鮮が発射実験を繰り返してきた新型の短距離弾道ミサイルの一つであるとの見方を持っている。

弾道ミサイルなら国連安全保障理事会の決議に違反する。北朝鮮は21日にも巡航ミサイルを黄海に向けて発射したが、決議違反の対象ではなく、米韓両政府は静観を決め込んだ。24日に米紙の報道で判明したが、非難や抗議もしていない。

北朝鮮は徐々に挑発のレベルを上げ、米国の反応を見極めているとみられる。トランプ前大統領は短距離弾道ミサイルを問題視せず、この間に実験を繰り返して技術を高めた。

北朝鮮指導部の視線の先には、近くまとまる米国の対北朝鮮政策がある。日米韓の高官は来週、ワシントンで対面協議に臨む。北朝鮮は挑発によって3カ国の関心をひき付け、制裁解除に向けた交渉に応じさせる思惑がある。

米国は現時点で抑制的な対応にとどめている。インド太平洋軍が声明で「引き続き状況を監視するとともに同盟国や友好国と緊密に話をする」と表明した。強い非難はせず「今回の動きは北朝鮮の不法な兵器計画の脅威を浮き彫りにした」と指摘した。

日本政府はいち早く、弾道ミサイルと断定した。発射から1時間後に菅義偉首相と関係閣僚が首相官邸に集まり、国家安全保障会議(NSC)4大臣会合を開いた。首相は記者団に「厳重に抗議し、強く非難する」と述べ、国連安保理決議違反との認識も示した。

船越健裕アジア大洋州局長はソン・キム米国務次官補代行(東アジア・太平洋担当)、韓国外務省の魯圭悳(ノ・ギュドク)朝鮮半島平和交渉本部長とそれぞれ電話で連携を確かめた。ただ、EEZに届かない短距離弾でもあり北朝鮮の挑発には乗らない姿勢も意識したようだ。安倍政権下では当時の菅官房長官が緊急記者会見で対応を説明することもあったが、加藤勝信官房長官は見送った。

韓国は大統領府のNSC常任委員会が「深い憂慮」を示す一方、弾道ミサイルとは断定しなかった。米韓合同軍事演習を受け、北朝鮮の金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長から南北軍事合意を破棄すると警告されており、さらなる反発を警戒した可能性がある。

(ソウル=恩地洋介、甲原潤之介)

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