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スリランカ、中国企業に港湾開発発注 日印協力から変更

(更新)

【ニューデリー=花田亮輔】スリランカ政府は24日までに、日本とインドの参画で一時合意していた最大都市コロンボの港湾開発事業について、中国企業に発注すると明らかにした。広域経済圏構想「一帯一路」を推進する中国がスリランカへの関与を強めるなか、親中派と目される現政権の意向が働いたとみられる。

スリランカはシリセナ前大統領時代の2019年5月に、コロンボ港の東コンテナターミナル(ECT)を日印と共同開発する覚書を交わしていた。ECTの運営会社にスリランカが51%、日本とインド側が49%を出資する計画だった。

同年11月に就任したゴタバヤ・ラジャパクサ大統領は合意通りに開発を進める考えを当初は示していたが、21年2月に一転してスリランカ側の全額出資で運営すると閣議決定した。日本政府は、一方的な計画変更だとしてスリランカに遺憾の意を伝えていた。同国ではゴタバヤ氏の兄で現首相のマヒンダ氏の大統領時代も、中国から多額の投融資を受け入れ、中国寄りの姿勢が懸念されていた。

スリランカは23日の閣議で、ECTを同国当局が「全面的に運営する」としつつ、中国の国有インフラ大手である中国港湾工程などへの開発発注を承認した。内閣が任命した委員会の勧告に基づいたという。中国は足元でスリランカへの融資を続ける一方で、同国の港湾などインフラ関連の権益を獲得している。

ラジャパクサ大統領は中国やインドとの関係について「中立を保つ」と表明してきた。コロンボ港ではECTとは別の西コンテナターミナル(WCT)の開発を、インドの財閥アダニ・グループが手がける見込みとなっている。

ただ、スリランカは支援と引き換えに中国の影響力が強まる「債務のわな」に陥っていると指摘されてきた。同国南部ハンバントタ港の開発を巡っては、スリランカが債務を返済できず中国に99年間の運営権を譲渡している。4月末時点でスリランカの対外債務のうち約1割を中国向けが占めており、日本などよりも多い。

今回のECT開発を受注する中国港湾工程は、スリランカの高速道路の建設と当面の運営なども担う予定だ。相次ぐ中国勢の関与についてインド政府関係者も「(スリランカは)どこまで長期的なコストや影響を考えて決めているのか」と警戒する。

日米豪印は中国を念頭に「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて「Quad(クアッド)」などの枠組みの連携を強めている。スリランカはインド洋の島国で、中東・アフリカと東アジアを結ぶシーレーン(海上交通路)の要衝にあたる。中国側のスリランカへの影響力拡大は、地域の緊張感を高めそうだ。

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