LGエネ、北米6カ所目の電池工場新設 1700億円投資

【ソウル=細川幸太郎】韓国電池大手のLGエネルギーソリューションは24日、米アリゾナ州に円筒型バッテリー工場を新設すると発表した。投資金額は1兆7000億ウォン(約1700億円)で、6月までに着工して2024年下半期に量産を始める。自動車大手との合弁工場も合わせて同社にとって北米で6カ所目の電池工場となる。
新工場の生産能力は11ギガワット時規模で、円筒型バッテリーの専用工場とする。円筒型はエネルギー密度が高く、比較的安価という特長がある。米国の電気自動車(EV)スタートアップ企業のほか、電動工具メーカーなどに供給する。
LGエネはパウチ型を中心に量産し、大手自動車会社に供給している。新興EVメーカーの勃興で需要が高まる円筒型の専用工場を米国に設けて需要増に対応する。
LGエネは同日、欧州ステランティスとの電池合弁工場の詳細も発表した。カナダのオンタリオ州で今年下半期に着工し、24年上半期に量産する。生産能力は45ギガワット時で、総投資金額は両社で4兆8000億ウォンにのぼるという。
LGエネは米ゼネラル・モーターズ(GM)との合弁で米国3カ所に電池工場を建設しているほか、自社工場を1カ所運営している。ステランティスとの合弁と、今回発表した自社工場を合わせて北米に6カ所の電池工場を運営することになる。
世界的なEVシフトによってLGエネの電池の受注残は25兆円規模に積み上がっているという。同社は北米5工場とインドネシア1工場、さらに既存の中国とポーランドの工場で追加投資する「世界同時増産」を続けている。1月に韓国取引所に上場して増産資金を確保したものの、急激な能力拡大に伴い人材不足が露呈し、品質問題を懸念する声もある。
韓国電池大手ではSKイノベーションが北米で自社工場2カ所に加えて米フォード・モーターと3つの工場を建設中。サムスンSDIもステランティスとの合弁工場の建設を準備している。25年ごろには3社合わせて北米で12カ所の電池工場が稼働する見通しだ。