LGエネ、米電池工場を再始動 顧客要請受け投資4倍に

【ソウル=細川幸太郎】韓国電池大手のLGエネルギーソリューションは24日、米アリゾナ州での工場建設計画を再始動すると発表した。建設費の高騰を受けて計画を中断していたものの、北米内での電池供給を求める顧客要請の強まりを受けて、建設の再開を決断。投資規模を従来計画比4倍の7兆2000億ウォン(約7200億円)に増やして生産能力を高める。
LGエネは2022年3月に1兆7000億ウォンを投じて同地に電池工場を建設すると発表。その後の物価高騰を理由に建設計画を見直すとしていた。ただ、同年8月に米政府の歳出・歳入法(インフレ抑制法)で電気自動車(EV)関連の補助金支給が明らかになり、北米での電池供給を求める機運が広がったという。
アリゾナの新工場では、車載用の円筒型電池とエネルギー貯蔵装置(ESS)向けパウチ型電池の2つの工場棟を建設する。生産能力は車載向けにEV35万台分に相当する27ギガワット時、ESS向けに16ギガワット時を確保する。23年に着工して25年中の稼働を目指す。
米政府のEV補助金は北米地域で生産したEVや車載電池に対して税控除の補助金を支給する制約がある。EV供給網(サプライチェーン)を域内に構築する狙いで、韓国の電池大手は相次いで北米に電池工場を建設している。
特にLGエネが北米生産を急拡大している。現在稼働中のミシガン州の自社工場に加えて、米ゼネラル・モーターズ(GM)との合弁で3工場、ホンダとオハイオ州に1工場、欧州ステランティスとカナダのオンタリオ州に1工場を稼働・建設している。新たに自前の電池工場を建設して米テスラなどへの供給能力を確保する。
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