パナソニック、純水素燃料電池を中国で4月から販売

【無錫(江蘇省)=渡辺伸】パナソニックホールディングスは水素を使って発電する定置型の純水素燃料電池を中国で4月から販売する。欧州ではすでに発売しており、4月にも初めて稼働する見通し。二酸化炭素(CO2)を排出せず夜間でも安定発電できるのが強みで、工場や企業の省エネ需要をグローバルに開拓する。
中国・北東アジア社の堂埜茂社長が24日、江蘇省無錫市で開いた記者会見で明らかにした。中国では無錫にある電池製造の自社工場に合計40キロワット分の電池を設置し、24日に稼働式典を開いた。営業用のショールームとして活用する。
水素燃料電池は水素と酸素を化学反応させて発電する仕組みで、太陽光発電パネルに比べて設置面積が小さいのも強み。日本では2021年10月に販売を開始。東京・晴海地区の住宅開発地のほか、研究所などの複数施設に供給した。
欧州ではすでに投入済みで、暖房システム大手の独フィスマンと組み、4月に初稼働する見込み。欧州は環境意識が高く省エネ需要が見込めるため、今後も受注を狙う。
課題は水素の調達コストの高さだ。自動車の燃料向けも含めて、水素の普及が進めば価格低減が進む見通し。堂埜氏は「(同電池の)市場が立ち上がるまでに3〜5年はかかるだろう。技術力は当社が先行しており、先行的に営業を展開する」と話す。
同電池はパナソニックが得意とする家庭用燃料電池「エネファーム」から発展した技術。中国では100社程度の企業が水素燃料電池事業を展開しているが「多くは自動車向けで、定置型は少ない」(堂埜氏)という。