韓国・サムスンバイオ、コロナワクチン生産 今夏から

【ソウル=細川幸太郎】韓国のバイオ医薬品の受託生産大手、サムスンバイオロジクスは23日、米モデルナ製の新型コロナウイルスワクチンを生産すると発表した。数億回の接種分を受託生産する契約を結び、今夏に生産を始める。米ワシントンで開かれた米韓首脳会談に伴うワクチン関連の企業間協議で合意した。
サムスンバイオは世界最大規模のバイオ医薬品の生産能力を持ち、ワクチン生産を受託するのは初めて。韓国政府はモデルナ社と4000万回分の購入契約を結んでいた。韓国・仁川市にあるサムスンバイオ工場でつくることで、韓国のワクチン接種を早める可能性がある。サムスンバイオは生産したワクチンは韓国など米国外の地域に出荷する予定としている。
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は当初、防疫措置に固執したためワクチン確保が後手に回った経緯がある。サムスンバイオやSKバイオサイエンスなど受託生産能力を持つ国内企業があるにもかかわらずワクチン確保が遅れ、文政権への不満が高まっていた。韓国政府は今回の受注で支持率回復とともに、ワクチン生産の技術蓄積の契機としたい考えだ。