香港株6%安、14年ぶり下落率 習新指導部に「NO」

【香港=木原雄士】24日の香港株式市場でハンセン指数が急落し、前週末比6%安の1万5180で取引を終えた。23日に発足した中国新指導部で習近平(シー・ジンピン)総書記に権限が一段と集中し、経済の統制色が強まるとの懸念からアリババ集団や騰訊控股(テンセント)など主力の中国ネット株が大幅に下げた。中国本土市場では上海総合指数が2%安で取引を終えた。
ハンセン指数は2009年4月以来、約13年半ぶりの安値を更新し、1日の下落率としては08年11月以来の大きさだった。
アリババは11%安、出前アプリの美団は15%安、テンセントも11%安だった。ハイテク関連銘柄で構成するハンセンテック指数も1割近く下げ、最安値を更新した。24日発表の中国の22年7~9月期の国内総生産(GDP)は市場の事前予想を上回ったものの、株価の押し上げ効果は限られた。
主力株が全面安の展開で、上海市場では香港経由の外国人投資家による売りが目立った。中国であらゆる政策に影響力を持つ共産党最高指導部の人事で習氏に近い人物が大多数を占め、投資家の懸念が高まった。
オランダの金融大手INGのアイリス・パン氏は経済政策に影響力があった劉鶴(リュウ・ハァ)副首相の退任見通しを受けて「習氏が政策面でより大きな発言権を持つようになる」と指摘した。
バンク・オブ・アメリカは人事について、習氏に近い人物が多く登用され、習氏の明確な後継者が見当たらないと分析する。「新指導部はトップによる意思決定への集中を示唆する」としたうえで「一部の投資家は、チェック・アンド・バランス(権力の抑制と均衡)を欠き、政策ミスが経済の大きなショックにつながる可能性があると懸念するかもしれない」との見方を示した。
今回の人事は「習氏1強」のもとで、年齢制限の慣例を撤廃するなど従来の常識が通用しないことを示した。シティグループは「市場が新しい政治秩序に適応するには時間がかかるかもしれない」と指摘。「今後数年で習氏のビジョンが中国経済と市場の両方により大きな影響力を持つようになる。地政学的なリスクが高まる中で、経済開発と安全保障のバランスが問われる」との見方を示した。
【関連記事】
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
この投稿は現在非表示に設定されています
(更新)