フィリピン、異なるコロナワクチン併用へ治験 6月にも

【マニラ=志賀優一】フィリピン政府が、異なる製薬企業の新型コロナウイルスワクチンを併用する臨床試験(治験)を6月にも始めることが、24日わかった。本来コロナワクチンは2回接種する場合、同じ種類を打つ必要がある。同国では種類により調達のペースに差がある。このためワクチンを組み合わせて問題がないかを調べることで、接種を速める狙いがある。ただ、治験の進捗次第では併用の安全性を疑問視する意見が出る可能性もある。
フィリピンのデラペニャ科学技術相が同国の放送局ABS-CBNに明らかにした。治験は18カ月にわたり、首都マニラなど幅広い地域から1200人程度が参加する見通し。現在は当局の許可を待っているという。
同国政府は、米国や中国、ロシア製のワクチンなど7種類の新型コロナワクチンの緊急使用を許可している。ただ、種類によって調達予定に差があるため、対象者が1回目に接種したワクチンが2回目の接種の日程までに調達できるかわからない状況だ。
フィリピンが安定的に調達しているのは、中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)製のワクチンだ。治験ではシノバック製ワクチンを別のメーカーのワクチンと組み合わせても問題がないかどうかに主眼をおくとみられる。
フィリピンは3月からコロナワクチンの接種を開始し、22日時点の累計接種回数が400万回を突破したと発表した。ただ2回目の接種を終えた人の割合は1%に満たない。ワクチンの併用も視野に入れることで接種のスピードを速めたい考えだ。

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