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ミャンマーで「沈黙のスト」、市民が出勤や外出を停止

(更新)
24日、ヤンゴン中心部では普段より車の交通量が減少した

【ヤンゴン=新田裕一】国軍によるクーデターが起きたミャンマーで24日、市民が出勤や外出をやめて抗議の意思を示す「沈黙のストライキ」が行われた。27日の国軍記念日を前に市民への弾圧が激しさを増し、大規模な街頭抗議が困難になっている。職場放棄を通じて経済を混乱させ、抵抗の意思を示そうとしている。

ストライキの呼びかけはSNS(交流サイト)を通じて市民に広がった。24日はスーパーマーケット大手「シティーマート」、コンビニ大手の「グラブ・アンド・ゴー」などが全店休業した。最大都市ヤンゴン中心部では大半の中小商店がシャッターを下ろし、呼びかけに応えた。市内の市場では6~7割の店が閉店し、店を開いていた女性(50)は「普段の半分以下の客しかいない」と話した。

24日、多くの店舗が休業し閑散とするヤンゴン市内の市場

ミャンマーでは、国軍が傘下企業を通じて銀行から宝石採掘まで多様な事業を手掛け、経済に大きな影響力を持つ。沈黙のストライキは市民が身の安全を守りながら、経済を混乱させることで国軍に打撃を与えようとするものだ。経済の混乱が長引けば政府の税収減にもつながる。

27日には国軍が軍事パレードを行う国軍記念日が控える。国軍にとっては「年間で最も重要な行事」(現地記者)で、外交筋は「国軍記念日に向けて国軍はデモの取り締まりを強化している」とみる。

「次の巡回で道路にバリケードが残っていたら、地区住民を無差別に撃つ」。SNSには治安部隊が拡声器でこう呼びかける映像が拡散する。国営紙には「住民と治安部隊が協力して道路上の障害物を取り除いた」といった記事が載るが、実際には治安部隊が住民を脅し、バリケードの撤去を強いている。

治安部隊は抗議デモが起きていない地区にも侵入して発砲を繰り返し、住民に圧力をかけている。国軍は3月14日には、工場が密集するヤンゴンの一部地域で戒厳令を発令した。対象地域では非公開の軍事法廷で反逆罪に問われた被告に対して極刑判決を下すことができるようになった。

治安部隊の弾圧激化と同時に、日中のインターネット接続が遮断され、市民は情報共有が難しくなった。抗議デモに参加してきた男性(23)は、日本経済新聞の電話取材に「以前のように抗議集会は開けなくなった」と話した。「過去の軍政時代の弾圧を知る高齢の住民は治安部隊を恐れ、もうバリケードをつくるなと言ってくる」という。24日までにヤンゴンではバリケードはほとんど見なくなった。

治安部隊の規律低下も目立つ。SNS上では治安部隊が飲食店を襲撃し、手当たり次第に破壊する動画が拡散する。地元メディア「イラワジ」によると、ヤンゴンの南西の村で住民の財産2000万チャット(約150万円)相当が治安部隊に強奪されたという。

「治安部隊が近くに来たらすぐに店じまいする。お米は略奪の対象になりやすい」。ヤンゴン中心部で米の小売店を営む女性(65)は野菜や肉を売る商店が並ぶ通りの先を心配そうに見やった。

現地メディアによると第2の都市マンダレーでは23日、治安部隊が押し入った民家で撃たれた7歳の少女が死亡した。2月1日にクーデターが起きて以降、最年少の犠牲者とみられる。民間団体の政治犯支援協会によると、殺害された市民は23日までに275人に達した。

また24日には首都ネピドーの裁判所で、輸出入法違反など4件の容疑で訴追されている民主化指導者アウン・サン・スー・チー氏の審理が開かれる予定だったが、同氏の弁護団によるとネット遮断を理由に再び延期された。

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ミャンマー国軍は2021年2月1日、全土に非常事態を宣言し、国家の全権を掌握したと表明しました。 アウン・サン・スー・チー国家顧問率いる政権を転覆したクーデター。なぜ起きたのでしょうか。 最新ニュースはこちら。

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