中国動画アプリ快手 20年12月期、1兆9千億円の最終赤字

【広州=比奈田悠佑】中国の動画アプリ大手、快手科技(クアイショウ)が23日発表した2020年12月期決算は最終損益が1166億元(約1兆9千億円)の赤字と、前の期の196億元の赤字から大幅に膨らんだ。利用者獲得に向けた宣伝費用などがかさんだ。黒字化には企業広告やネット通販などによる収益拡大が課題になる。
売上高は前の期比50%増の587億元だった。主力のショート動画アプリの利用者数は1日平均で2億6千万人超と19年から5割増えた。ただ利用者増による売り上げの伸び幅を超えて、マーケティングや研究開発に関わる投資が増えている。
快手は21年2月に香港取引所に上場し約5600億円を調達した。ショート動画分野では「TikTok(ティックトック)」を運営する北京字節跳動科技(バイトダンス)が先行しており、快手は調達資金を活用し、利用者の拡大や新たなサービス開発を進める方針だ。
今後は利用者の獲得とともに収益力の向上が焦点だ。ただ中国当局は快手の収益源の一つで、視聴者が動画配信者を応援する「投げ銭」への規制を強めている。快手は今後、動画に挿し込む企業広告や、動画と連動するネット通販サービスの強化が求められそうだ。