習近平氏、長期政権へ側近登用 首相候補に李強氏 - 日本経済新聞
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習近平氏、長期政権へ側近登用 首相候補に李強氏

【北京=羽田野主】中国共産党の習近平(シー・ジンピン)総書記は23日、3期目の最高指導部を発足させた。首相候補に上海市トップで側近の李強(リー・チャン)氏を起用した。長期政権をにらみ自らに近い党高官ばかり昇格させた。後継候補も置かなかった。行きすぎた権力集中にはブレーキ役がいなくなるリスクもある。

23日の重要会議、中央委員会第1回全体会議(1中全会)で党高官の人事を決めた。22日閉幕した党大会で選出された約200人の中央委員が24人の政治局員(指導部)と7人の政治局常務委員(最高指導部)をそれぞれ選んだ。

習氏は党トップの総書記、国家元首の国家主席、軍トップの中央軍事委員会主席の3ポストを継続する。いずれも任期の定めはなく、次の党大会の2027年以降も続投する可能性がある。習氏は23日、国内外の記者を前に「中国式の現代化によって中華民族の偉大な復興を全面的に推進する」と語った。

常務委員7人のうち新メンバーは4人。いずれも習氏側近とされる。党序列2位で来年3月の全国人民代表大会(全人代)で首相に就く見通しの李強氏が注目される。

李強氏は上海の都市封鎖を巡る混乱で批判を浴び、一時は最高指導部入りも危ぶまれた。首相には副首相経験者が就く慣例があり、未経験の李氏は異例の抜てきだ。

習氏が浙江省トップ時代に秘書長として仕えた。習氏は現首相の李克強氏との溝が指摘された。経済運営を担う首相を信頼できる人物に任せたかったとみられる。

北京市トップの蔡奇(ツァイ・チー)氏も指導部の事務を担う中央書記処書記に就く。習氏の福建省勤務時からの部下。蔡氏も出稼ぎ労働者を追い出す政策が批判されたが習氏の信頼は揺るがなかった。

日本の官房長官に相当し、習氏の「女房役」である丁薛祥(ディン・シュエシアン)氏も昇格した。筆頭副首相に就くとみられる。広東省トップの李希(リー・シー)氏は習氏の父親時代から知り合いで、腐敗を取り締まる中央規律検査委員会の書記に就く。

趙楽際(ジャオ・ルォージー)氏と王滬寧(ワン・フーニン)氏は留任。趙氏は全人代委員長、王氏は全国政治協商会議主席に就く見通しだ。

一方、胡錦濤前総書記や李克強氏を輩出した共産主義青年団(共青団)出身の胡春華副首相は政治局員から外れ、ただの中央委員になった。胡氏は首相候補だったが異例の「降格」といえる。

23日には軍の最高意思決定機関である中央軍事委員会のメンバーも公表した。党トップに就くには軍事委副主席の経験が必須だが、今回も常務委員から起用しなかった。習氏が後継指名を見送ったことを意味する。

防衛大学校の佐々木智弘教授は「最高指導部の新メンバー4人は10年後にいずれも70歳を超え、習氏後継になりえない。習氏は次の党大会の27年以降もトップをやるつもりだ」と分析する。

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習政権

3期目となる新たな習近平(シー・ジンピン)指導部が発足しました。習政権では習氏に近いとされる「習派」は最高指導部を指す政治局常務委員で7人中6人を占め、序列24位以内の政治局員でも約7割が該当するとみられます。権力の一極集中を進める習政権の最新ニュースや解説をまとめました。

「習政権ウオッチ」習政権の中枢で何が起きているのか。中沢克二編集委員が深掘りします。
「大中国の時代」異形の膨張を続ける「大中国」の轍(わだち)と、習氏のビジョンを読み解きます

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