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マレーシア航空に資本注入へ、政府系ファンドが940億円

【シンガポール=中野貴司】マレーシアの政府系ファンドのカザナ・ナショナルが、国の管理下で再建中のマレーシア航空グループに36億リンギ(約940億円)の追加の資本支援を実施することが固まった。マレーシア航空はリース会社などの債権者からも債務繰り延べなどの同意を得た。同社は新型コロナウイルスによる旅客需要の急減で業績が一段と悪化していたが、ひとまず経営危機から脱するメドがついた。

マレーシア航空が22日、航空機リース会社の支持を受け、英国の裁判所から会社法に基づく債務整理の認可を得たと発表した。リース料の減額や繰り延べなどの金融リストラは3月初旬までに完了する見通し。発表によると、債務圧縮の合意を受けて、マレーシア航空の全株式を保有するカザナは36億リンギの追加の資本注入の実施を約束した。追加で得た資金は2025年までの事業運営に充てる。

マレーシア航空は新型コロナの感染拡大後の業績悪化を受けて、英国の会社法の枠組みを使って債権者との債務圧縮の交渉を進めていた。グループ最高経営責任者(CEO)のイザム・イスマイル氏は20年10月時点で、「仮に債権者の協力を得られなければ、事業停止以外に選択肢はない」と危機感をあらわにしていた。今回の債務整理の合意と、自助努力を合わせたコスト削減効果は20年分だけで55億リンギに上る。同社のコロナ前の年間事業費は90億リンギ程度だったとみられ、新型コロナによる大幅減収の打撃を緩和することになる。

ただ、マレーシア国内の新型コロナの新規感染者数は依然高止まりしており、少なくとも21年中は旅客数の低迷が続く見通しだ。イザム氏は「旅行関連の商品やサービス事業を拡大する」と話すが、マレーシア航空はコロナ前から赤字に陥っており、黒字に転換するのは容易ではない。14年の機体の消息不明事件や撃墜事件による客離れを受けて、完全国有化に踏み切ったカザナが今後、さらなる追加支援に踏み切らざるをえない事態に陥る可能性もある。

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