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韓国の慰安婦訴訟、日本政府への賠償命令が確定

原告である元慰安婦の女性らが生活する支援施設「ナヌムの家」(韓国・広州)=共同

【ソウル=恩地洋介】日本政府に賠償を命じた韓国の慰安婦訴訟の判決が23日に確定した。日本政府が控訴しなかった。原告側は現時点で資産差し押さえに動く姿勢は見せていない。韓国政府も日本との一段の対立は回避したい考えのようだ。

1月8日のソウル中央地裁判決は日本政府に、原告12人に対し1人当たり1億ウォン(約950万円)の慰謝料支払いを命じた。日本政府は一貫して、国家は外国の裁判権に服さないとする国際法上の「主権免除」の原則にのっとり、控訴もしなかった。

日本政府は原告が政府資産を差し押さえる事態を警戒している。原告が差し押さえ手続きを取ろうとした場合、裁判所は再び主権免除の適用を判断することになる。

韓国の専門家は「他国への強制執行は当該国との関係を著しく損なう恐れがあるため、裁判所が認める可能性はかなり低い」(慶熙大の白凡錫教授)とみている。原告側弁護士は18日に「法的責任が認められ、原告の名誉と人格権が回復することに裁判の意味がある」と話し、状況を見極める意向を示した。

外交関係者によると、韓国政府は日本側に「差し押さえはない」と伝えている。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は18日の記者会見で、慰安婦問題の最終解決をうたった2015年の日韓合意を「政府間の公式合意」だと認めたうえで「原告が同意できる解決策を見いだす」と述べた。

日本政府はこれに「韓国側からの具体的提案を見て評価する」(茂木敏充外相)として、文政権の具体的行動を注視する構えだ。一方、韓国内では「文政権が具体的解決策を示すことまではできない」(与党関係者)との見方が強い。

元慰安婦の支援団体は早速、韓国政府の対応に反発している。市民団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」は20日の集会で、文氏の発言を「当惑し、失望している。日本政府に卑屈といえるほどの守勢的な対応だ」と批判した。日本政府を相手取った慰安婦訴訟は別にもう1件あり、3月24日に弁論を再開する。

茂木外相は23日、判決の確定を受けて談話を発表した。「韓国に対し、国家として自らの責任でただちに国際法違反の状態を是正するために適切な措置を講ずることを改めて強く求める」と訴えた。

主権免除の原則を否定した判決は「国際法に明らかに反する」とも指摘した。1965年の日韓請求権協定や慰安婦問題の最終解決をうたった2015年の日韓合意にも反するとの見解を示し「極めて遺憾で、断じて受け入れることはできない」と主張した。

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