サムスン重工、LNG船4100億円受注 海上輸送の需要増

【ソウル=細川幸太郎】韓国造船大手のサムスン重工業は22日、液化天然ガス(LNG)運搬船14隻の受注契約を結んだと発表した。受注額は3兆9000億ウォン(約4100億円)。ロシアのウクライナ侵攻以降、欧州各国がロシアからのガス購入を減らして他地域からの海上輸送に切り替えており、LNG船の需要拡大につながっている。
タンク容量17万立方メートル級の大型LNG船の建造を受注した。一度の受注額としては韓国造船業界で過去最大という。発注主の中には、大量発注方針を示していたカタールの国営エネルギー会社も含まれるという。
サムスン重工はLNG運搬船だけで2022年に24隻を受注した。既に受注実績は63億ドルにのぼり、年間受注目標の72%を達成したという。
LNG船の需要が高まる背景には、ロシアのウクライナ侵攻がある。欧州は天然ガス輸入の3割をロシアからのパイプライン輸送に頼っており、代替先として中東や東南アジアからの輸入を増やす方針を示す。そのため世界の海運大手がLNG船の発注を増やし、韓国造船大手が受け皿となる構図だ。
もっとも、サムスン重工の業績は振るわない。造船不況期の赤字受注が尾を引いているためで、21年12月期の営業損益は1兆3119億ウォンの赤字と7期連続の営業赤字となった。足元の好調な受注が業績に反映されるのにはまだ時間がかかる見通しだ。
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