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文政権、対中配慮強める 北朝鮮巡る協力に期待

【ソウル=恩地洋介】韓国政府が先週、台湾のオードリー・タン(唐鳳)デジタル担当相に依頼していた講演の予定を突然取り消したことが判明し、波紋を広げた。韓国側が中国に配慮したためとみられ、台湾は猛抗議した。任期満了が迫り、外交面での成果づくりにはやる文在寅(ムン・ジェイン)政権の姿勢も影響している。

タン氏は文大統領直属の「第4次産業革命委員会」が16日に開いた会議にオンラインで参加する予定だった。韓国政府が9月に招待し、台湾のデジタル社会革新をテーマに発表することになっていた。

韓国紙によると、韓国政府は当日の朝に電子メールでタン氏側に中止を通知した。台湾外交部(外務省)は21日までに、韓国の対応に「無礼な行為」と強い不満を示し、韓国の駐台北代表処の代理代表を呼び出して抗議した。

台湾側は韓国が講演を中止した理由を「中台関係をめぐる様々な点を考慮した結果」だとして、中国政府の圧力があった可能性を示唆した。タン氏は10日に米政府がオンライン形式で開催した「民主主義サミット」にもビデオ演説で参加し「台湾は常に世界で権威主義と対抗する最前線に立ってきた」と訴えていた。

韓国側は外務省報道官が21日の記者会見で「諸般の状況を総合的に検討し、決定した」とだけ説明した。実は中韓両政府には23日、オンラインで外務次官級の戦略対話を4年半ぶりに開催する予定が入っていた。2022年2月の北京冬季五輪には中国政府が文大統領を開会式に招待しており、韓国側が対応を検討中だ。

北京冬季五輪を巡ってはバイデン米政権が6日に閣僚や政府代表を送らない「外交ボイコット」を表明。英国やオーストラリア、カナダは同調しているが、文大統領は13日に「韓国政府は検討していない」と表明した。

北朝鮮との融和路線を掲げる文大統領は、9月の国連総会で言及した朝鮮戦争の終戦宣言構想をあきらめていない。構想の実現には北朝鮮の後ろ盾で、朝鮮戦争の当事者でもある中国の協力が不可欠だ。このため、文政権は台湾を巡って対中関係を悪化させられないと判断したとの見方も出ている。

終戦宣言は在韓米軍の存在意義にもかかわるため、米国には慎重論が強い。一方、韓国政府によると中国外交トップの楊潔篪(ヤン・ジエチー)共産党政治局員は今月初旬に訪中した韓国の徐薫(ソ・フン)国家安保室長に、終戦宣言を支持する考えを伝えたという。

来年5月に任期を終える文政権には、北京冬季五輪を最後の北朝鮮を巡る外交の舞台にしたいとの考えもある。金正恩(キム・ジョンウン)総書記との首脳会談を実現させたい思惑もある。

北朝鮮は月内に朝鮮労働党中央委員会総会を開く。最高指導者に就いて10年となる金正恩氏が演説する可能性もあり、文政権は終戦宣言や対話への言及に期待をかけている。

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