テンセント22年12月期売上高1%減、上場来初の減収減益

【広州=川上尚志】中国のネット大手、騰訊控股(テンセント)が22日発表した2022年12月期決算は、売上高が前の期比1%減の5545億元(約10兆7000億円)だった。純利益も16%減の1882億元。通期で減収、最終減益となるのは04年に香港証券取引所に上場して以来、ともに初めて。
売上高の1割強を占めるネット広告事業の収入が7%減ったことが響いた。22年に中国で新型コロナウイルスの感染が広がったことなどで、企業の広告出稿の意欲が下がった影響を受けた。
主力のゲーム事業は海外向けが3%増だったが、国内向けが4%減と不振だった。国内低迷の背景として「(ゲーム利用を制限する)未成年の保護政策や新しいゲームの投入が減った」(テンセント)ことがあるという。フィンテックや企業向けサービス事業は3%増えたが、全体の落ち込みを補えなかった。
22年末の従業員数は10万8436人で、21年末に比べて4%減った。事業環境の悪化に伴って人員規模を調整した可能性がある。

22年10〜12月期決算は売上高が前年同期比1%増の1449億元、純利益は12%増の1062億元だった。売上高は3四半期ぶりに増加した。電子商取引(EC)などの広告出稿が伸び、ネット広告事業が復調した。
23年12月期はゲーム事業の動向に関心が集まる。中国政府はゲームに対する規制を部分的に調整し、22年後半から大手企業のネットゲームを認可するようになり、テンセントの作品も含まれるようになった。
同社が23年2月に配信を始めた新作「黎明(れいめい)覚醒」は好調で、「23年のゲーム事業は反転するだろう」(国泰君安証券)との見方がある。ただ中国政府によるゲーム業界への締め付けは続いており、事業を拡大できるかはなお不透明感がある。