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シンガポールGIC、未公開株・不動産の投資増 対日縮小

(更新)
GICの20年間の実質平均利回りは4.3%に改善した=ロイター

【シンガポール=中野貴司】シンガポールの政府系投資会社GICは23日、2021年3月期の運用実績を公表した。未公開株や不動産への配分割合を増やす一方で、債券・現金の割合を落とすなど、市場の変動が激しい中での機動的な運用が目立った。日本への配分割合も直近1年間で14%から8%に大きく減らした。

GICの20年間の実質平均利回りは世界的な株価上昇の恩恵を受け、4.3%と前年(2.7%)から改善した。ここ数年は利回りの低下が続いてきたが、15年3月期(4.9%)以来の好成績に回復した。GICは単年度の利回りを公表していないが、大幅なプラスだったとみられる。同じシンガポールの政府系ファンド、テマセク・ホールディングスの21年3月期の単年度の運用利回りは25%だった。

新型コロナウイルスの感染拡大によって市場環境が大きく変化した中で、利回り改善の原動力となったのが大幅な資産の入れ替えだ。株式シフトを進め、とりわけ未公開株への配分割合を20年3月末の13%から21年3月末には15%に引き上げた。

GICはここ数年、有望なスタートアップへの投資を強化しており、投資先のうち、20年12月に米料理宅配大手のドアダッシュが、21年4月には米大手暗号資産(仮想通貨)交換所のコインベース・グローバルが上場を果たした。GICは米サンフランシスコや北京など世界の10拠点に400人近くの未公開市場の担当者を抱えており、今後も有望な新興企業への投資を増やす見通しだ。

不動産への配分割合も直近1年間で7%から8%に引き上げた。20年12月に米ケネディ・ウィルソンと共同で英国の物流施設に最大10億ドル(約1100億円)を投資すると発表。同月に香港のESRともインドの工業・物流分野に共同投資する方針を発表した。コロナ下でネット通販市場が世界的に拡大しており、物流施設の需要も堅調に推移するとみて、資金を重点配分している。

対照的に債券・現金の割合は50%から45%に大きく減らした。グループ最高投資責任者(CIO)のジェフリー・ジェーンスバキ氏は20年12月の日本経済新聞のインタビューで、「多くの国の政策金利がこれ以上下がらないほど下がり、債券を組み入れる利点がなくなった」と述べていた。価格が高止まりした債券を保有しても大きな運用益を期待できないとみて、株式や不動産に資産を移した。

地域別では日本への配分を14%から8%に落としたのが目立った。リム・チョーキャット最高経営責任者(CEO)はその理由について「1年前の20年3月は新型コロナの感染拡大の影響で市場の変動が激しかった時期で、当時、リスク対比の利回りが相対的に良かった日本国債を大量に保有していた」と説明。その後、日本国債の保有を減らしたために日本への配分も減ったものの、「日本は引き続き重要な市場だ」と継続的に投資する姿勢を強調した。日本を除くアジアへの資産配分は20%から26%に引き上げており、アジアに全体の資産の3分の1を振り向ける構図は変わっていない。

GICは運用資産の規模を公表していない。米調査会社ソブリン・ウェルス・ファンド・インスティテュート(SWFI)の推計では、GICの総資産は4532億ドルで、世界の政府系ファンドの中で7位。

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