豪カジノのスター、赤字186億円 コロナ規制が打撃
中国人観光客の回復、見通し立たず

【シドニー=松本史】オーストラリアのカジノ大手、スター・エンターテインメントが22日発表した2022年6月期決算は、最終損益が1億9800万豪ドル(約186億円)の赤字(前の期は5700万豪ドルの黒字)だった。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた施設の一時閉鎖などが響いた。売上高は前の期比1%減の15億2700万豪ドルだった。
スターは豪最大都市シドニーやゴールドコーストで統合型リゾート(IR)を運営する。同社は赤字について「コロナに関連した施設の閉鎖、運営上の規制、国境閉鎖、規制当局による調査」の影響と説明している。
21年6月下旬から感染が拡大した新型コロナ「デルタ型」の影響で、シドニーでは10月中旬まで3カ月超にわたり外出規制が敷かれ、同社のカジノも休業を余儀なくされた。また20年3月から続いた豪政府による出入国規制で、主力の中国人観光客も落ち込んだ状態が続いた。
豪政府は22年2月に海外からの渡航を全面的に認めたが、中国政府の「ゼロコロナ」政策により同国からの観光客回復は見通せない状態が続いている。
今後の懸念は資金洗浄の法令違反疑惑を巡る当局の調査だ。スターは21年6月に「規制当局から資金洗浄などに関する法令違反の可能性を指摘された」と発表した。シドニーのあるニューサウスウェールズ(NSW)州当局の調査を受けているほか、ゴールドコーストのあるクイーンズランド州でも公聴会が開催予定だ。調査結果次第では、同社のカジノ運営に打撃となる可能性もある。