中国・華潤ビール、20年は最高益 コスト削減で6割増

【大連=渡辺伸】中国ビール最大手の華潤ビールが22日発表した2020年12月期決算は、純利益が20億元(約350億円)と前の期に比べ60%増えた。人民元による決算公表を始めた16年以降で最高だった。不採算工場の閉鎖でコストを減らしたほか、高級品へのシフトも寄与した。
20年に合計4工場を閉め、中国の工場数は計70カ所となった。20年末の年間生産能力は1875万キロリットルで19年末に比べて9%、従業員数は約2万7000人と同10%減った。買収で工場数が急増したため、17~19年にも計28工場を閉鎖していた。侯孝海・最高経営責任者(CEO)は22日の電話会見で「少なくとも今後3年間、毎年3~4工場を閉める」と述べた。
20年の売上高は5%減の314億元だった。新型コロナウイルスによる需要減少などが響いた。ただ、19年4月に買収したオランダ・ハイネケンの中国事業が伸び、高級分野は好調だった。今後も低価格品から高級品へのシフトを続ける。
国家統計局によると、20年のビール生産量は3411万キロリットルで19年比で7%減った。新型コロナの影響で1~3月に需要が急減した。政府が新規感染をほぼ抑え込んだことで回復し「21年1~2月の需要はコロナ前の水準に戻った」と侯CEOは話す。
中国のビール市場は世界最大だ。生産量は13年をピークに縮小に転じたが、金額ベースでは拡大が続く。英調査会社ユーロモニターによると、19年までの5年間で販売量は約9%減る一方、販売額は34%増えた。所得向上で中高級品の人気が高まっている。
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