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マレーシア国王、「大連立」提案も不調 異例の仲裁

(更新)

【クアラルンプール=中野貴司】マレーシアの次期首相選びが異例の展開を見せている。首相の任命権を持つアブドラ国王は22日、首相候補者2人を王宮に呼び、大連立内閣を提案した。しかし、候補の一人である国民同盟トップのムヒディン前首相が拒否したため、決裂した。国王は23日に、カギを握る第三勢力の国民戦線の議員30人と面会。どちらの候補を支持するかを確認し、早期に首相を任命したい考えだ。

19日投開票のマレーシア連邦議会下院選(定数222)は、アンワル元副首相が率いる野党の希望連盟が最大の82議席を、解散前に連立政権の一角を占めた国民同盟が73議席を獲得した。アンワル氏とムヒディン氏はそれぞれ首相就任の条件となる過半数(112議席)の確保に向け、30議席を持つ国民戦線や地域政党への働きかけを強めていた。

だが、国民戦線が党として、いずれの候補も支持しない方針を決めたため、国王が期限とした22日午後2時(日本時間午後3時)までに両氏とも過半数を確保できなかった。国王は早期決着を図るため、同日午後4時半に両氏を呼び、希望連盟と国民同盟による統一内閣を組成するよう提案した。

ムヒディン氏は面会後、記者団に「(大連立に同意する)文書にサインするよう求められたが、同意しなかった」と明言した。同氏を支持する議員115人の宣誓書を国王に提出したとも主張した。一方、アンワル氏は「国王の意向に感謝する」と述べた上で、「時間を与えられれば過半数は確保できる」として他党との交渉に全力をあげる考えを示した。

大連立の提案の失敗を受け、国王は「23日午前10時半に、国民戦線の議員30人と個別に面会する」と発表した。国民戦線の議員の支持が割れている現状を踏まえ、一人ひとりの議員にどちらの候補を支持しているかを確認した上で、過半数の議員の支持を得ている首相候補がいるかを見極めるとみられる。マレーシア憲法は「国王が下院議員の過半数の信任を得ていると判断した議員を首相に任命する」と定めている。

国王が自ら仲裁に乗り出し、失敗したことは、マレーシア政治・社会の分断と混乱を象徴する。国民同盟にはイスラム保守主義を掲げる全マレーシア・イスラム党(PAS)が加わっており、希望連盟の中核政党の一つである華人系の民主行動党(DAP)とは信条や政策が相いれない。国民戦線内にもDAPへの抵抗感は強く、それが希望連盟と国民戦線の連立が実現しない要因となった。

2018年の総選挙後に首相に復帰したマハティール氏が20年2月に辞任に追い込まれた後、マレーシアでは首相が短期間に交代する不安定な政治状態が続く。アンワル氏によると、国王は22日の面会で「民族や宗教、地域のあらゆる点で包摂的な政権の構築」を要請した。しかし、どの政党も単独では過半数を獲得できていない状況下で、誰が次の首相に就いてもその実現は容易ではない。

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