中国、コロナワクチン接種が2億回超 1カ月で2.5倍に急増

【大連=渡辺伸】中国の国家衛生健康委員会は22日、新型コロナウイルス用ワクチンの接種が累計で2億回を超えたと発表した。約1カ月前と比べて2.5倍に急増し、米国に迫った。生産能力の増強などが追い風だ。ただし約14億人の人口を抱えるだけに、接種率ではなお米に劣る。
中国本土の接種回数は21日時点で2億419万回。同委員会の担当者は記者会見で「感染リスクの高い港湾都市、辺境地区、大中都市、過去に感染が広がった地域で優先的に接種している」と述べた。国内では無料で接種できる。
中国はコロナワクチンの海外輸出に注力してきたほか、国内の新規感染者が少ないこともあり、3月23日時点の接種は8284万回にとどまっていた。米国は3月12日時点で1億回を超え、4月21日時点で2億1600万回となった。
生産面では中国製薬会社の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)などが増産を進めている。同委員会幹部の鄭忠偉氏は20日、海南島のフォーラムで「中国のコロナワクチンの年間生産能力は現在50億回に近づいた。21年の生産量は30億回を超えるだろう」と述べた。
中国の国産ワクチンは治験データなどの開示が不透明だと指摘されてきた。大連市の30代会社員男性など複数の中国人は「安全性が不明だから接種をためらっている」と話しており、さらなる情報公開も必要となりそうだ。1月に接種した大連市の会社員男性(34)は「注射そのものは(普通のワクチンと同じで)特別な感じはしなかった」と語った。