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新興国で「クラブハウス」規制の動き 反体制を警戒

招待制SNS「クラブハウス」は中東でも若年層を中心に人気に火が付きつつあった=AP

【ジャカルタ=地曳航也、イスタンブール=木寺もも子】米国発の音声SNS(交流サイト)「クラブハウス」を規制する動きが主に新興国で目立ってきた。3月には中東のオマーンが禁止した。タイやインドネシアでは閣僚が利用抑制の可能性に言及した。クラブハウスでの自由な議論が体制批判につながると懸念しているもようだ。

AP通信によると、オマーン政府はクラブハウスへのアクセスを遮断した。クラブハウス側が同国で適切な認可を得ていないためだという。クラブハウスは2月ごろから同国を含む中東諸国で、若年層を中心に人気になり始めていた。

トルコ当局も神経をとがらせている。エルドアン政権に抗議するデモに参加した学生は2月、クラブハウスでの発言を巡り、警察から事情聴取を受けたと話した。学生デモは年初に始まり、複数のメディアによると、クラブハウスでの議論で中心になって発言した学生がその翌日、当局に拘束される事例もあった。

クラブハウスは招待制のSNSで、「ルーム」と呼ばれるテーマごとの部屋で参加者が音声での会話を楽しむ。「選ばれて招かれた」という優越感、会話の共有は参加者だけという「安心感」が人気に拍車をかけた。米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)も参加し、世界で注目されていた。

デモ参加者がツイッターやフェイスブックなどのSNSを情報共有の手段として利用する光景は、2010年に始まった中東の民主化運動「アラブの春」で一般化した。ミャンマーで連日続く国軍のクーデターへの抗議デモでも、多くの参加者はSNSを通じて連絡を取り合う。

米ワシントン・アラブ湾岸諸国研究所(AGSIW)のエマン・フセイン客員研究員は「アラブの春以降、既存のSNSは監視が強化された」と説明する。中東各国の政府はSNSで反体制的な意見を拡散することに罰則を設けたり、専門の人員や人工知能(AI)などを用いて政府の見解に沿う投稿が目立つようにしたりしているという。

アジアでも政府の規制が広がる。中東より一足先に人気に火が付いた中国では2月上旬からアプリが利用できないとの報告が相次いだ。当局が規制に乗り出した可能性がある。ロイター通信によると、その前には、中国の少数民族ウイグル族の収容所、台湾、香港国家安全維持法などを話題にした中国語の議論があった。

タイのプティポン・デジタル経済社会相(当時)は2月中旬、クラブハウスの利用者に「注意せずに使用すると、法律に違反する可能性がある」と警告した。

プティポン氏の発言は、タイ王室批判の急先鋒(せんぽう)で不敬罪に問われたパビン京都大准教授が、王室に関するルームを主催し、計1万2000人の参加者を集めた直後にあった。

タイでは王室改革を求める反体制デモが続き、政府は取り締まりを強めている。同国のプラチャーティポック王立学院の政治学者、サティトーン・タナニチチョット氏はクラブハウスに関し「デモ参加者の興味を刺激する」と指摘した。

インドネシアでは通信・情報省が2月中旬、クラブハウスのアクセスを遮断する可能性に言及した。アプリとして必要な政府への登録を済ませていないことが理由だ。政府は治安維持のため国内のイスラム過激派や分離独立派の動きに神経をとがらせている。アプリの登録を促すことで、管理を強める狙いがあるとみられる。

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