世界50カ国・地域、核兵器禁止に
【ニューヨーク=共同】核兵器禁止条約が22日、発効する。国連によると、条約は昨年10月までに批准した50カ国・地域で現地時間22日午前0時に効力が発生。米仏などが核実験を繰り返した南太平洋にある締約国サモアが最初に22日を迎えた。アジアや欧州、中南米に順次拡大し、国連本部のあるニューヨーク時間の22日午前0時(日本時間同日午後2時)には大半の締約国で発効、核の使用や保有、開発を全面違法化する初の国際法規の誕生となる。
米英仏ロ中の核保有五大国は核廃絶を迫る条約には縛られないとの立場で参加を否定。米の「核の傘」に依存する日本政府も不参加だ。条約を推進してきた非保有国との溝は深いものの「核なき世界」を求める国際世論の高まりを受け、条約発効が軍縮の後押しになるとの期待が高まる。
米国では核軍縮に前向きな姿勢を示すバイデン新大統領が就任。トランプ前政権下で後退したロシアとの核軍備管理の枠組みを修復する構えで、信頼醸成が進めば、停滞する核軍縮に新風が吹き込まれる可能性もある。
日本政府は唯一の戦争被爆国として核保有国と非保有国の橋渡し役を自認。だが中国や北朝鮮の脅威を理由に禁止条約の署名・批准に消極的だ。
禁止条約にはこれまでに51カ国・地域が批准。条約推進国は今年8月に延期された核拡散防止条約(NPT)再検討会議を前に参加国をさらに増やし核保有国への圧力を強める方針だ。
禁止条約は2017年7月、国連で122カ国・地域の賛成で採択。昨年10月、批准国・地域が発効に必要な50に達し90日後の発効が決まった。