日産、フィリピン生産から撤退 輸入に切り替え
【マニラ=遠藤淳】日産自動車は21日、フィリピンでの生産を3月に終了すると明らかにした。現地企業との生産委託契約を打ち切る。販売低迷を受けた世界的な事業体制の見直しの一環で、フィリピン生産から撤退し、完成車の輸入に切り替える。

日産は2013年からフィリピンの地場企業に委託し、首都マニラ近郊にある工場で小型セダン「アルメーラ」を組み立てている。委託契約期間が満了するのに合わせて打ち切りを決めた。フィリピン貿易産業省によると、作業員として133人が雇用されている。新型コロナウイルス禍による景気減速で販売が落ち込み、20年のアルメーラの生産台数は4600台にとどまっていた。
フィリピンでは19年にいすゞ自動車がピックアップトラック「D-MAX」の生産を終了、20年3月にはホンダが小型車「シティ」などを組み立てていた工場を閉鎖している。貿易産業省は自動車の現地生産が縮小し、輸入車が増えている状況に危機感を強め、21日に自動車に対するセーフガード(緊急輸入制限)を暫定的に発動している。
日産は20年5月に3社連合を組む仏ルノー、三菱自動車とともに、余剰生産能力の削減を含む中期経営計画を発表。スペイン・バルセロナ工場の生産を21年末に終了することを決めている。