香港民主派、相次ぎ逮捕 共産党直轄 締め付け緩めず

【香港=木原雄士】香港警察の国家安全部門は21日、民主派団体元幹部の何俊仁氏を逮捕した。同氏は保釈中だった。香港では中国の民主化運動に関連する人物の逮捕が相次ぐ。習近平(シー・ジンピン)指導部は香港政策を中国共産党の直轄にし、政治活動や言論への締め付けを緩めない方針だ。
何氏は天安門事件の犠牲者を追悼する団体の幹部を務め、中国の人権派弁護士も長年支援してきた。香港国家安全維持法(国安法)で起訴された後、保釈中に事件の証人と接触し、公正な司法を妨害したとの疑いを持たれている。
著名民主派、李卓人氏の妻で労働者の権利保護に関わってきた鄧燕娥氏も3月、刑務所にいる李氏を訪問した直後に逮捕された。その後、何氏の弟や鄧氏の妹が相次いで逮捕され、民主派周辺への取り締まりが厳しくなっていた。
習指導部はこれまで国務院(政府)が担ってきた香港政策を党直轄に格上げすると決めた。中国政府系シンクタンクの劉兆佳氏は「共産党が香港への指導力を強め、香港が国家安全上の弱点にならないようにする」狙いがあると解説する。

3期目となる新たな習近平(シー・ジンピン)指導部が発足しました。習政権では習氏に近いとされる「習派」は最高指導部を指す政治局常務委員で7人中6人を占め、序列24位以内の政治局員でも約7割が該当するとみられます。権力の一極集中を進める習政権の最新ニュースや解説をまとめました。
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