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サウジアラムコ利益半減 DXで「残存者利益」狙う

サウジアラムコはデジタル投資を加速する=ロイター

サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコが21日発表した2020年決算は新型コロナウイルスの危機に伴う需要の低迷で前年比44%の減益となった。脱炭素の流れが加速し、欧米メジャーが投資を減らすなか、アラムコは掘削やサプライチェーン(供給網)を効率化するデジタル投資を進め、石油市場の「残存者利益」をねらう。

アラムコの純利益は490億ドル(約5兆3000億円)と、19年の882億ドル、18年の1111億ドルから減った。19年12月の新規株式公開(IPO)時に表明した750億ドルの巨額配当の支払いは約束通り実行した。

ナセル最高経営責任者(CEO)は「困難な状況のなかアラムコはユニークな価値を示した」と指摘し、今後の経営環境の改善に自信を示した。デジタルトランスフォーメーション(DX)で「低炭素に向けた解決」に貢献するとの姿勢を強調した。

アラムコは米ヒューレット・パッカード子会社などと開発したスーパーコンピューター「ダンマーム7」を今年から本格的に稼働させた。演算性能は55.4ペタ・フロップス(1秒当たりの浮動小数点の演算回数、ペタは10の15乗)で、アラムコは「世界十指に入る演算能力」と説明している。

油田の掘削は地球物理学のビッグデータを用いた効率化が期待される。アラムコ本社には地下の油井を3Dで再現する独自のシステムがある。AI(人工知能)が地形や地質から有望な埋蔵地点を予測する。コンピューター演算能力の向上は予測が当たる可能性を飛躍的に高める。膨大なデータ蓄積が可能な石油業界は情報技術(IT)の恩恵を受けやすい。

欧米メジャーは14年以降の原油価格の低迷を受け、投資家の圧力からIT投資を抑制せざるを得なかった。対照的に19年12月まで非公開企業だったアラムコはIT投資を一気に拡大した。AIやビッグデータの活用が一気に広がった時期とかさなる。

アラムコは脱炭素で石油業界への逆風が強まるなかでも先端投資をゆるめていない。20年に取得した米の技術特許は過去最高の683件。アラムコ幹部によると、この数は多くの欧米石油メジャーを上回っている。

アラムコはアジアの下流部門進出を経営の柱に据えており、DXによる石油ビジネスの変革に本腰を入れる。長期的に消費国の化石燃料離れは避けられないとみられるが、多くの企業が撤退後、市場に最後に残るプレーヤーとして利益を総取りしたい考えだ。ナセル氏は「石油ガス資産の利益を最大化するための長期戦略は計画通りに進んでいる」と指摘した。

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