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中国地方政府の土地収入、7年ぶり前年割れの公算 22年

【北京=川手伊織】中国の地方政府が依存する土地収入が、2022年は7年ぶりに前年割れする公算が大きくなっている。財政省によると、1~6月の収入は前年同期を31%下回った。政府の規制強化などで不動産開発会社が資金不足に陥り、マンションの新規開発に必要な土地の需要が落ち込んでいる。財政難が深刻になれば、地方政府と国の公共事業で当面の景気浮揚につなげる習近平(シー・ジンピン)指導部の目算が狂い、経済底上げの支障となりかねない。

中国の土地は国有地のため、地方政府が入札で土地の使用権を不動産開発会社に販売する。

景気対策の減税などで税源が細るなか、地方政府は土地収入への依存を強めてきた。地方政府の決算をみると、20年の土地収入は遡れる10年以降で初めて地方税収を上回った。

頼みの綱の土地収入が昨夏から落ち込んでいる。単月でみると前年同月比の減少率は拡大し、6月は39.7%減と、15年5月以来の大きさとなった。通年での前年割れは、「チャイナ・ショック」と呼ばれ景気が減速していた15年以来となる。

当時を振り返ると、住宅販売の面積や価格は14年に落ち込んだ後、15年には持ち直した。一方、地方政府の土地収入は15年に前年を下回り、16年から回復した。

まず住宅市場の需要が盛り返し、販売が伸びる。マンションの在庫も少なくなると、不動産開発会社が新規開発へ土地の確保に動く。そうして、地方政府の土地収入が増えるという構図だ。

土地収入の先行きを占う住宅販売は足元でさえない。

中国の証券会社、広発証券によると、主要30都市のマンションなどの取引面積は、7月1~16日時点で前年同期比38%減った。上海市のロックダウン(都市封鎖)解除などで住宅展示場の来訪者が増えた6月は前年同月比6%減までマイナス幅を縮めていた。

マンションの値上がり期待が薄れたことに加え、景気悪化で所得不安も高まっている。住宅販売の本格回復には時間がかかりそうだ。

財政省が発表する土地収入には、地方政府内のお金のやりくりで「水増し」している分もある。

中国系証券会社の国盛証券は、主要20都市が22年に実施した1回目の土地入札の落札企業を調べた。融資平台と呼ぶ地方政府傘下の投資会社が35.5%を占め、国有企業とほぼ並んだ。民間の不動産開発企業は3割弱にとどまった。

中国では地方政府は認可された債券発行以外の資金調達ができない。そこで融資平台が「別動隊」として資金調達し、公共事業などを手掛けることが少なくない。

融資平台に土地を購入させることは、融資平台からのつなぎ融資に近い。マンションの建設予定がない土地は地方政府が買い戻すか、塩漬けになって融資平台の財務を悪化させる。融資平台の経営が行き詰まれば、最終的には地方政府が支援せざるを得なくなる可能性がある。

土地収入への過度な依存が地方財政を揺らす。土地収入に代わる安定財源として、固定資産税に相当する不動産税が必要だとの声は多い。

全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は21年10月、政府が同税を試験導入することを認めた。政府内の調整が本格化したが、22年3月に年内見送りを発表した。景気の落ち込みに加え、秋の共産党大会を控えて混乱を避けたもようだ。

土地財政の改革が先送りされ、地方の財政難は一段と厳しさを増している。米S&Pグローバルは、地方政府の最大3割が22年末時点で、歳出削減など早期是正措置を求められる水準まで財政が悪化するとはじいた。

新型コロナウイルスの感染封じ込めを狙う「ゼロコロナ」政策も、大規模PCR検査の負担などが地方政府に重くのしかかる。歳入不足は景気対策などの手足を縛り、地元経済の復調にも響く。

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